『ジュラシック・ワールド/炎の王国』 おとぎ話のように、美しく怖い…

(C) Universal Pictures

 14年ぶりのシリーズ復活となった前作は、全世界で歴代3位(当時)の驚異的な大ヒットを記録した。日本でも2015年の興収ナンバー1となったが、その半面、内容的には決して褒められたものではなかった。では、続編(シリーズ通算5作目)となる今回はどうか?

 舞台は、あれから3年後。恐竜テーマパークのあったイスラ・ヌブラル島で火山噴火が起き、クレアたち前作の主人公は島に残された恐竜の救出作戦を試みる。だが、その裏で危険な陰謀に利用されているとは知る由もなかった…。

 監督が、脚本家としてはともかく演出力は二流のコリン・トレボロウから、『永遠のこどもたち』『インポッシブル』『怪物はささやく』のスペインの鬼才J・A・バヨナにバトンタッチしたことで、映画としての水準が格段にアップした。この子供映画の名手は、これまでシリーズになかった“エモーション”を随所に持ち込んでみせる。とりわけ効いているのが、物語のキーパーソンとなる少女の存在。というより、少女の画面の中での見せ方の工夫が、シリーズに通底する「人間の科学へのおごりに対する警鐘」というテーマに寓意性をまとわせ、サスペンスとエモーションの見事な緩急を生んでいる。

 「おとぎ話のように、美しく怖い」と形容したくなる本作は、スピルバーグが撮ったシリーズ第1作に比肩する出来栄えだ。★★★★★(外山真也)

監督:J・A・バヨナ

出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード

7月13日(金)から全国公開

© 一般社団法人共同通信社