佐賀県の負担「国が計算を」 長崎県が独自試算困難と求める

 九州新幹線長崎ルートを全線フル規格で整備した場合の佐賀県の実質負担を巡り、長崎県は9日、JR側が負担する施設使用料(貸付料)などを加味した試算について「こちらでは計算できない。国が計算して佐賀県と協議してほしい」との認識を示した。長崎県議会九州新幹線西九州ルート整備特別委員会で松本洋介委員(自民)に、廣畑健次企画振興部次長が答えた。

 佐賀県は全線フルなら同県負担額が2408億円(新鳥栖-武雄温泉2千億円、武雄温泉-長崎408億円)と試算しているが、JR各社が負担する貸付料や後年度に国から充当される交付税措置を加味していない。長崎県は「佐賀県試算より相当程度軽減される」とみるが、貸付料が決まっていないため長崎県の独自試算は困難との見方を示した。

 一方、里脇清隆委員(自民)は「答弁を聞いてきて知事の本気の腹づもりや、長崎県として『ここまでやるんだ』との思いが見えない」と指摘。柿本敏晶企画振興部長は貸付料などについて「国に具体的に整理してもらうことが議論が進む要因」とした。

 小林克敏委員(自民・県民会議)は「(開発が遅れた)フリーゲージトレインの責任はすべて国にある。財源にしかるべき対応をするのが国の責任だと明確に訴えるべき」と強調した。

 特別委は全線フルを目指し、12日にJR九州などに、18、19両日をめどに国土交通省や自民党本部に要望活動をする方針。終了後、八江利春委員長は「フルになるため意気込みを届けたい。今月は特に行動する」と話した。

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