諫干請求訴訟 再棄却求め要請書 高裁に漁業者らの団体

 国営諫早湾干拓事業の開門調査を巡り、国が2010年の開門確定判決を履行せずに科された制裁金支払いを強制しないよう求めている請求異議訴訟控訴審の判決を前に、開門派漁業者らでつくる有明海漁民・市民ネットワーク(松藤文豪代表)は9日、国の請求を再び棄却するよう求める要請書を福岡高裁に提出した。
 一審佐賀地裁は14年、国の請求を棄却。同高裁は今年、開門せずに国の基金案での和解を2回勧告したが、協議は決裂した。同高裁は国に有利な判決を示唆し、開門確定判決が事実上、無効化される可能性が高い。判決は今月30日に言い渡される。
 要請書は「基金案で漁業者の開門請求権放棄を迫る暴挙は許されない。開門調査の意義を同じ裁判所が否定するのは司法の信頼を失墜させる」とした。
 提出後の会見には、開門確定判決の長崎県原告3人らが出席。島原市有明町の松本正明さん(66)は「司法が国の主張を認めるのは納得できない」と批判した。この後、約10人が福岡市中心部でチラシ約300枚を配り、市民に支援を訴えた。

諫干問題への注目を求める長崎県の漁業者ら=福岡市天神1丁目

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