【MLB】大谷とプホルスの共通点 特大弾に米驚愕も基本は「二塁打でしっかり出塁」

自身メジャー初となる代打本塁打を放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

135Mの代打決勝弾も”衝撃”の本音、自己評価は「数多く打つタイプではない」

 8日(日本時間9日)本拠地ドジャース戦で、メジャー初となる代打決勝ホームランを放った大谷翔平投手。3-3の7回、ドジャース2番手右腕シャグワの内角低め速球を捉えた打球は、初速108.8マイル(約175キロ)&飛距離443フィート(約135メートル)という特大アーチになった。打撃練習でも大谷がかっ飛ばす大飛球は、猛者揃いのメジャーでも大きな話題になるほどだが、それでも24歳二刀流の自己評価は決して「長距離打者」ではないようだ。試合後の会見で、大谷は「ホームランの方向を見てもそうですけど、あまり狙いに行くようなタイプでもないですし、数多くホームランを打つタイプではないと思っている」と衝撃の本音を明かしている。

 注目のLA対決を全米生中継した米スポーツ専門局「ESPN」のオールデン・ゴンザレス記者は、自身のツイッターで大谷の7本塁打のうち6本が飛距離400フィート(約122メートル)を越え、今季エンゼルスで生まれたホームランのうち飛距離トップ3のうち2本が大谷のアーチであることを伝えている。他に同じようなプロフィールを持つ選手がいれば、誰もが長距離打者と考えるだろうが、大谷が打席で取るアプローチはあくまで「ツーベースを基準にしっかり出塁して、また走者を帰せるようバッティングができればいい」という。

 実は、この試合で通算627本塁打を放ったエンゼルス主砲、アルバート・プホルスも、デビュー以来、一貫して「常に心掛けるのは二塁打。ホームランは狙って打つものじゃない。二塁打の延長にホームランがある」というスタンスで打席に立ち続ける。奇しくも、打線の中軸を支える2人は、打席でのアプローチを同じくしていた。

「ホームランが出ないことに対して、モヤモヤしたり、イライラしたりということは全然ない」

 ホームランを打ったのは、5月17日(同18日)の本拠地レイズ戦以来52日ぶりだったが、「ホームランが出ないことに対して、モヤモヤしたり、イライラしたりということは全然ないです」という。このホームランまで10打席連続無安打。前日7日(同8日)には右膝に自打球を当てるなど“らしくない”場面もあり、約1か月、戦列を離れていた状態からの調整について「もちろん難しいんじゃないかなとは思いますし、今も感じている」と話した。

 そんな中で放った7号アーチは、2ストライクからセンター方向へ真っ直ぐ振り抜いた一発だった。

「チェンジアップが決め球であるピッチャーなので、2ストライク後はしっかり頭に入れていかないといけない。その中で、裏を掻かれての真っ直ぐだったんですけど、何とかいい形で打てたというのは僕の中でよかったですし、次の打席でもそういうアプローチの仕方ができるかもしれない。そういう可能性としてはよかったです」

 チームの勝利に直結、かつ自身も次につながる形が見えたホームラン。本調子への糸口を見つけた打者・大谷は、ここからさらなる脅威となるはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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