子育て世代に「第2の家」 孤立防ぐ居場所、8月開設 産前産後ケアや子の預かりも 佐世保

 長崎県佐世保市で子育て支援に取り組むNPO法人「ちいきのなかま」は、宿泊を伴う産前産後ケアや子どもの預かりなどができる居場所の準備をしている。子育て世代の多様なニーズに応え、孤立を防ぐ狙い。守永惠理事長は「困ったときに来ることができる第2の家にしたい」と思いを込める。

 6月下旬の午前中。佐世保港を望む天神地区の古い一軒家で、スタッフが窓や床をぞうきんで磨き上げた。「今どきこんなに広い庭がある家は、なかなかないでしょう」。和室の前に広がる芝生の庭を、守永理事長はうれしそうに眺めた。

 ちいきのなかまは、会員宅で子どもを預かるファミリーサポートセンター事業や、産前産後の母親支援の啓発に取り組んでいる。8月開設を目指す「みんなの実家 モントブレア」は、市民から借り受けた2階建ての空き家を拠点にする。▽産後の母親に休息の機会や心身のケアを提供するデイサービスとナイトステイ▽宿泊も可能な子どもの預かり▽遠方から入院している子どものきょうだいや家族の宿泊-などの有料サービスを順次始める予定だ。

 出張や当直勤務がある親のニーズや、産後の日数で制限しない切れ目ないケアの必要性-。これまでの活動の隙間を埋めると同時に、家以外に居場所がない母親の多さも開設の背景にある。実母との関係が良好ではない人や、家庭内で居づらさを感じている人に多く出会ってきた守永理事長。「良いママでいなければいけないと思って自分を犠牲にしている一方、横のつながりをつくる力は弱まっている。素でいられる場所がない」

 泊まれる場所をつくることで、食事を一緒に作ったりみんなで食卓を囲んだりするなど、暮らしのさまざまな場面が生まれることにも期待を寄せる。家事や子どもの世話の経験が少ないまま親になる人が多い時代。「インターネットでも知識を得られるが、本来、情報は相互関係の中で得られるもののはず」。今の母親らが子育ての方法や家族の温かさを学び取る場にもしたいと考えている。

 オープンまで約1カ月。地域住民を交えた食事会の企画から始める考えだ。「まずは地域に溶け込むことが大事。家族と地域の機能をどう再生できるか考えたい」。一人でも多くの人を“お帰り”と出迎えるため、今日も準備が続いている。

開設の準備が進む「みんなの実家 モントブレア」
「第2の家と思ってもらえる場所にしたい」と話す守永理事長=長崎県佐世保市天神5丁目、「みんなの実家 モントブレア」

© 株式会社長崎新聞社