金属行人(7月10日付)

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 岡山県倉敷市にあるJFEスチール西日本製鉄所倉敷地区の製鋼工場を訪ねたことがある。エレベーターで地下に降りると巨大な連続鋳造機が現れる。ゆっくりと鋳込まれていく真っ赤なスラブ。その迫力とともに印象に残っているのは、すぐ脇の柱に刻まれた小さな印だ▼この印は、2004年の台風16号の影響で同工場のすぐ近くを流れる高梁川が氾濫し、浸水したときの水位を示す。「ここまで水がきたんです」と担当者。人の背丈よりずいぶん高い。満潮と同じタイミングだったため、想定以上の大量の水が防潮堤を乗り越え押し寄せた▼連日、高梁川の名を繰り返し報道で耳にする。この週末に西日本の広い範囲を襲った記録的な豪雨。岡山県倉敷市真備町が高梁川の支流の決壊により甚大な被害を被った。この町に近い倉敷地区に大きな被害はなかったようだが、被災地の惨状に心が痛む▼鉄鋼業にとって河川はなくてはならない存在でもある。倉敷地区にとって高梁川がそうであるように、工業用水の供給源だからだ。今回の豪雨では工業用水の供給が途絶える被害も出ているようだ。これから台風シーズンが本番を迎えるのを前に災害リスクを再考したい。