親亡き後も困らないよう 障害ある子への備え お金、住まい…生きがいも

「親が他界した後も障害のある子どもが豊かな人生を送れるように備えて」と話す上級終活カウンセラーの豊里幸さん=熊本市中央区

 障害のある子を持つ親が、自身が他界した後の備えを考える講演会が6月30日、熊本市中央区で開かれた。講師の上級終活カウンセラー、豊里幸さん(39)=荒尾市=は「親亡き後も子が困らないように、命あるうちに親心を形にして」と話した。(清島理紗)

 豊里さんには、重度の知的障害のある31歳の弟がいる。70歳の母親は、自身が亡くなった後を考え、弟の住まいの確保などさまざまな準備をしているという。

 母親の終活を支えようと、豊里さんは終活カウンセラーの資格を取り、3年前に起業。終活セミナーやエンディングノートの書き方講座を開いている。後ろ向きなイメージのある終活を明るく捉えてもらおうと、「もしもに備える活動」という意味で「もし活」という言葉を作り、講座でも使っている。

 豊里さんは自身の経験から「親は障害のある子のことを最優先に考え、なかなか自分のことを振り返る余裕がない」と指摘する。一方、親の遺志が分からないことで残された子が困らないよう、親自身のことと、子の生活を分けて準備するようアドバイスした。

 親自身の準備の第一段階は、エンディングノートの作成。世話になった人の連絡先や、葬儀の形式、お墓に関する希望などを記入する。散骨などを望む場合も明記したい。加入中の保険の証券番号も書き込んでおく。分厚いノートは避け、完璧を求めず、書けるところから書くのがポイントだ。思い出の写真などを貼って、楽しく仕上げるのも良い。  相続については、子や孫世代までの家系図と財産目録を作成する。それが専門家に相談する時の大きな助けになるという。

 障害を持つ子の生活準備の第一は、孤立を防ぐこと。きょうだいや親戚に頼らずに済む環境をできるだけ整える。親が病気の時や災害の時は、近所の人の手を借りることも想定されるので、ふだんから地域の集まりに積極的に参加するなど、周囲の人とのつながりを作っておくといい。

 弟と両親が高知市で暮らす豊里さんも「緊急時は力になりたいと思う。でも遠方に住んでおり、家族もいるので、すぐに対応できるか不安」として、ふだんからの準備が大切だと強調した。

 住まいは家族と住むのか、グループホームや施設にするのか、子に合った環境を探して早めに決める。施設職員、成年後見人などの第三者が見ても分かるように、子どもの▽パニックになりそうな環境▽心が落ち着くもの▽かかりつけ医▽緊急連絡先-などの一覧表を作っておく。

 お金や住まいだけでなく、生きがいも大切だ。豊里さんの弟は旅行が好きで、国内各地を訪れているという。「子どもが豊かで楽しい人生を送れるように、幸せな顔をする瞬間を探して、できることからすぐに実行してほしい」と結んだ。

 講演会は知的障害者と保護者らでつくる熊本市手をつなぐ育成会(川村隼秋会長)が、定期大会に合わせて開催。約150人が出席した。

(2018年7月11日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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