広島の鋼材物流、西日本豪雨で影響深刻 サプライチェーン寸断

 西日本を中心に前線が活発化し激しい雨が中国地方で続き、各地で土砂崩れや冠水が起こり、広島県内の経済活動にも大きな影響を与えた。週明けから被害状況が少しずつ明らかになってきている。鉄鋼関係各社も自社をはじめ顧客の被害状況の把握に努めている。

 ファブリケーター団体である広島県鉄構工業会の事務局では、会員企業に確認作業中。回答が一部返ってきていない会員もあるが、現状では人的・物的被害は報告されていない。部分的な浸水被害が確認されている。設備の被害がなかった広島市内に倉庫を構える特約店でも、道路交通網の寸断の影響が大きい。山陽鋼材(広島市中区南吉島)の中川淳一社長は「倉庫への入庫が滞っているが、出荷もままならない」として、早期の通常化を望む。結城鋼材(東広島市志和)の結城惠司社長は、「保育園が流されて、幼児を預ける先がない社員は出勤できない」と話す。自社への通勤ルートの国道2号線では法面崩壊などで通行止めが各所に発生しており「メーン道路である2号線の迂回路整備が進んでいれば状況も違ったはず」と道路整備の遅れを指摘する。

 広島方面からの陸路・鉄路が土砂災害などで寸断され、陸の孤島になっている呉地区。交通確保が難しいため呉地区への鋼材や加工製品の出入りは困難な状況。通行可能な道路や一部開通した道路に自動車が集中し、大渋滞が発生している。呉地区のスクラップ業者では会社に影響はなく社員の安否確認を終えたものの「社員の自宅が浸水被害にあっている。ガソリンスタンドの休業で車移動もままならず、食品も不足している」と厳しい被災地の状況を話す。

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