【新日鉄住金グループ企業の〝今〟34】〈日鉄住金レールウェイテクノス〉独自のソリューション事業展開

 日鉄住金レールウェイテクノスは2015年4月、旧日鉄住金関西工業(現同社)のプラント事業部門と日鉄住金テクノロジーの鉄道関連事業を統合し発足した鉄道総合エンジニアリング会社。鉄道用、産業用の機械装置事業を基盤として軌道関連事業(削正工事、削正車・部品販売、摩擦調整材・塗布装置販売)、評価試験事業とソリューション事業を展開する。発足後の3年間で無災害を継続し、給与・福利厚生など新制度の設計、施行も進んだ。

 鉄道用装置では北海道、北陸新幹線の開業、延伸に伴う新車両基地建設プロジェクトが一段落し、今後3~4年は老朽更新需要が中心になる。複数年にわたる客先の老朽更新計画に設計段階から参画し、設備・装置・レイアウトなど総合的な提案を行うため、設計と営業が一体で拡販活動に力を入れている。過去に納入した設備・装置の保守・点検サービスも軌道に乗り、装置拡販とのシナジーも生まれている。

 産業用機械装置では、新日鉄住金・製鋼所向けをはじめ7、8分野の装置類を手がけており、開発・設計・製造の人員効率的配置の観点で選択と集中を図るとともに、長期的視野に立って新規分野開拓に取り組んでいる。

 鉄道用、産業用の機械装置事業では今後3年間は、より体系的にコスト管理できる体制作りにも重点的に取り組む。

 レール削正工事では2台の削正車を保有し工事を受注しているが、老朽更新期を迎える1台を廃却し、20年度から1台体制で効率性を高める。削正車・部品販売は客先の増備、老朽更新に対応して拡大を図っていく。

 評価試験事業では、新日鉄住金の鉄道車両品の開発や信頼性向上の一環で製鋼所内外における試験、データ採取・分析を担っており、今後も測定技術、解析の高度化を継続する。

 この評価試験事業で培った豊富なノウハウを生かし、新日鉄住金や他グループ会社と連携を強化して、ソリューション事業の早期立ち上げにも傾注している。4月に複数部署によるタスクフォースを始動させており、今期はこの分野の研究開発費も大幅に増やす。

 例えば、新日鉄住金のPQモニタリング台車と自社の地上PQ測定を組み合わせると、車両と軌道の高度な状態監視システムと監視業務サービスを提供することができる。またGPSを用いた車両位置情報の検知と車両動揺データ測定を組み合わせることで、リアルタイムで軌道の状況を監視することが可能になる。

 このように車両側、軌道側の両面から高度な状態基準保全(CBM)ソリューションを提供できるのが新日鉄住金グループの強みだ。車両基地用に販売する機械装置に状態監視機能を付加することで、客先での保守点検をCBMに切り替えるソリューションも提供する。

 社員の平均年令は36歳。今後はより体系的、効果的に技能伝承を進めようとしている。秋本社長は今年度から係長・主任クラス社員との昼食会を定例化しており、そこでも技能伝承のあり方を話し合っていく。

企業概要

 ▽本社=大阪市此花区

 ▽資本金=3億1千万円(新日鉄住金100%)

 ▽社長=秋本幸宣氏

 ▽主力事業=鉄道用・産業用装置、軌条削正関連、鉄道評価試験

 ▽従業員=204人(18年7月1日)

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