福田須磨子の未公開資料展示 「続われなお―」生原稿、姉宛ての書簡… 被爆詩人の生きざまにじむ 長崎県立図書館

 長崎を代表する被爆詩人、福田須磨子(1922~74年)の未公開資料などを展示する企画展が10日、長崎市立山1丁目の県立長崎図書館で始まった。「続われなお生きてあり」(未完、長崎の証言第6集など収録)の未掲載部分を含む生原稿、被爆詩人の生きざまがにじむ姉の豊後レイコさん(2016年死去)宛ての書簡など初公開を含む21点を見ることができる。
 69年に田村俊子賞に選ばれた原爆体験記「われなお生きてあり」の続編執筆に晩年取り組んでいた須磨子。原水爆禁止運動の分裂に苦悩しながら生きる日々を描いた「続われなお-」の生原稿は、原稿用紙23枚で幾度も書き直した跡がある。未掲載部分は、日本原水協事務局長との本を巡るやりとりなどが記されている。
 姉宛ての書簡は便せん4枚の表裏。詩集「原子野」の58年刊行後の消印。自分の作品について「己の内部にメスをいれ、たとえそれが如何に醜い傷あとをのこしていたにせよ、一応おさまっている傷から血をふき出させるような苦痛と闘って書いて行きました」などと記述している。同館の永田英樹郷土課係長は「命を削って書いたその思いが伝わってくる」と話す。
 4月から始まった同館主催「県立長崎図書館106年の軌跡」の一環。須磨子の親族が本紙記者を介し、同館に寄贈した約300点などを精査し展示。本紙が昨年発見を報じた「鏡」など直筆の詩3編、佐多稲子の書簡のほか、原爆投下前に実家の青果問屋前で撮影された23歳ごろの笑顔の須磨子など写真9点も。11月30日まで。

初公開された福田須磨子の生原稿や書簡、写真=県立長崎図書館

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