関節リウマチの手術 進行遅らせ動作楽に

歩行障害がある患者の股関節(写真上)を、人工股関節置換術によって人工股関節(写真下、白い部分)に置き換えると、股関節がスムーズに動き、痛みが和らぐ(友田邦彦医師提供)

 関節リウマチでは、薬物治療の効果が得られず、関節の破壊が進行した場合などには、治療の4本柱の最後として、手術が行われます。熊本整形外科病院(熊本市中央区)の友田邦彦・熊本リウマチセンター長に手術の目的や特徴について聞きました。(高本文明)

 -関節リウマチの治療で、手術が必要になる場合は。

 「例えば生物学的製剤が効かない・使用できない、肺疾患があり抗リウマチ薬のメトトレキサートが使用できない、感染症を起こしていて生物学的製剤も使えない場合などが挙げられます。薬の使用を希望しない患者さんもいます。病状が進行して関節が壊れたら、最終的には手術しかありません」

 -手術の目的は何ですか。

 「手術だけでリウマチを治すことは無理ですが、関節破壊の進行を遅らせることはできます。手術の目的は、関節が壊れた人に対して、日常生活での不便さを改善し、少しでも楽に生活できるようにすることです。大事なのは、局所の関節だけを治すのではなく、患者さんが生活しやすくするために手術をするということです」

 -手術の特徴は。

 「リウマチの全身治療、薬物療法を行い、全身を見ながら局所の関節障害を改善することを同時に行わなければならないため、手術のタイミングが重要です」

 「全身のコントロールができていない状態で手術するのは危ないです。さらに病気が悪化する可能性があります。リウマチは、多関節障害ですから、1カ所だけを見て手術してはいけません」  

-具体的に教えてください。

 「例えば人工肘の手術を受けようと思っている患者さんを考えます。膝や股関節、手首も悪くて、立ち上がるときに肘で立ち上がる人がいるんですね。肘だけを見て人工肘関節を付けても、あっという間に壊れてしまいます。この場合は、まず立ち上がり動作が楽になるように、膝とか股関節の手術をして、つえが持てなかったら、手を手術して、そして肘の手術をします。全身の状態、全身の関節障害を把握しないと、惨憺[さんたん]たる結果になる場合があります。そこが一番難しいところですね」

 -関節リウマチの手術は難しいですね。

 「関節リウマチは、多くの関節に障害が起き、骨が非常にもろく、少し力を加えただけで割れてしまう人もいます。骨の大きな変形・欠損や、全身の筋力低下なども手術の困難さにつながります」  -手術の種類は。

 「大別して、炎症性の腫れている滑膜を関節から取り除き炎症を阻止する『滑膜切除術』、関節が破壊された後に行う『骨関節手術』があります。骨関節手術には、変形矯正手術や、機能再建手術として人工関節置換術、関節固定術、腱[けん]断裂の手術、切除関節形成術、腱制動術などがあります」

 「手の指では、変形が著明であっても、患者さんがその状態によく順応していて機能障害が意外に少なく、手術で変形を矯正しても機能改善につながらない場合があるため、注意が必要です」

 -生物学的製剤が登場して革命的な変化、パラダイムシフトが起きました。手術に関しては、どんな点が変わりましたか。

 「変わった点としては(1)手指や前足部の手術では、より機能回復を目指せるようになった(2)全身の炎症を軽減でき、手術がやりやすくなったことなどが挙げられます。一方、膝や股関節など大きな関節の関節破壊がある程度、既に進行している場合や、局所の滑膜炎が持続している場合に対する手術は変わりません」

 -整形外科を受診するタイミングはどう考えればいいですか。

 「日常生活上の動作で、不安・不満があれば、その時に受診するとよいでしょう」

(2018年7月11日付 熊本日日新聞夕刊掲載)

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