正恩氏、米長官を「鼻であしらい」ジャガイモ畑視察

By 太田清

平壌の迎賓施設で、北朝鮮の非核化協議に臨むポンペオ米国務長官=6日(ロイター=共同)

 米朝首脳会談で合意した北朝鮮の非核化実現に向け6~7日、北朝鮮入りしたポンペオ米国務長官だが、前回2回の訪朝時と異なり、金正恩朝鮮労働党委員長とは会談できなかった。北朝鮮側はさらにポンペオ氏らは協議で「強盗さながらの非核化要求を持ち出した」(外務省報道官談話)と批判するなど、非核化実現に向けた前進はなく、米朝関係に再び暗雲が漂い始めている。 

 こうした中、英スカイニューズ・テレビ(電子版)は11日までに、「正恩氏はポンペオ氏を鼻であしらい、ジャガイモ畑の視察に出かけた」との見出しで、正恩氏がポンペオ氏との会談より地方視察を優先させたとする記事を伝えた。 

 ホワイトハウスはポンペオ氏の訪朝前、ポンペオ氏が正恩氏と会談予定としていたが会談は実現しなかった。ポンペオ氏の訪朝時の正恩氏の動静に関心が集まっていたが、朝鮮中央通信は10日、正恩氏が中国国境に接する北部両江道三池淵郡のジャガイモ農場や建設現場を視察したと伝え、正恩氏がジャガイモ畑にしゃがみ込んで側近らに何かを話す写真も公開した。 

 視察の日時は報じられなかったものの、同通信はこれに先立つ約7日間、正恩氏の動静を伝えていない一方で、金英哲朝鮮労働党副委員長が先週、訪朝中の韓国高官に対し、正恩氏が平壌を離れ「地方視察中だ」と話したと伝えられたことから、スカイニューズは正恩氏がポンペオ氏訪朝中、両江道三池淵郡を訪問していたとみられると判断したという。 

 ポンペオ氏訪朝に当たっては、韓国紙朝鮮日報が、英歌手エルトン・ジョンさんの曲「ロケット・マン」のCDをトランプ大統領のプレゼントとして持参し正恩氏に渡すと報じていたが、トランプ氏は10日、ポンペオ氏はCDを渡さなかったことを明らかにした。 (共同通信=太田清)

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