6月月間MVPの青木宣親、MLBからの復帰組3人目の3割打者なるか

ヤクルト・青木宣親【写真:荒川祐史】

復帰後3割マークは福留、城島の阪神勢2人だけ

 ヤクルトの青木宣親は、6月のセ・リーグ野手部門月間MVPに輝いた。青木は自身4度目の受賞となるが、MLBから復帰した日本人が月間MVPを受賞したのは初めてだ。

 青木は6月30日に頭部に死球を受け、脳震盪の特例措置で出場選手登録を外れていたが、11日に再登録。ここまで255打数78安打6本40打点、打率.306と好調を維持している。

 NPBからMLBに移籍する選手は、20代後半から30代初めの働き盛りで海を渡る。MLBではNPBとは異なる過酷な環境でプレーをし、多くの経験を身につけるが、帰国してNPBに復帰する頃にはピークを過ぎていることが多い。このため、MLB移籍前と同じパフォーマンスを維持しているケースは少ない。

 これまで15人のNPB育ちの日本人野手がMLBに挑戦した(MLBに昇格しなかった中島裕之を含む)。このうち現役の大谷翔平と、イチロー、松井秀喜を除く12人がNPBに復帰したが、復帰後のシーズンで3割をマークしたのは2例だけだ。

○MLBから復帰したNPB育ちの日本人野手シーズン打撃ランキング ※規定打席以上、打率順、()は打率順位

2016年 福留孝介(神)39歳 453打141安11本59点 打率.311(5)
2010年 城島健司(神)34歳 554打168安28本91点 打率.303(12)
2004年 SHINJO(日)32歳 504打150安24本79点 打0.298(16)
2013年 井口資仁(ロ)39歳 485打144安23本83点 打率.297(11)
2010年 井口資仁(ロ)36歳 531打156安17本103点 打率.294(17)
2007年 中村紀洋(中)34歳 457打134安20本79点 打率.293(15)
2013年 西岡剛(神)29歳 497打144安4本44点 打率.290(7)
2017年 中島宏之(オ)35歳 431打123安9本49点 打率.285(7)
2015年 田中賢介(日)34歳 532打151安4本66点 打率.284(9)
2009年 井口資仁(ロ)35歳 448打126安19本65点 打率.2813(17)
2015年 福留孝介(神)38歳 495打139安20本76点 打率.2808(8)
2013年 中村紀洋(De)40歳 431打121安14本61点 打率.2807(11)
2008年 中村紀洋(中)35歳 493打135安24本72点 打率.274(24)
2012年 中村紀洋(De)39歳 442打121安11本61点 打率.274(10)
2016年 田中賢介(日)35歳 541打147安2本53点 打率.272(17)
2010年 中村紀洋(楽)37歳 473打126安13本64点 打率.266(25)
2011年 井口資仁(ロ)37歳 509打135安9本73点 打率.265(19)
2017年 福留孝介(神)40歳 441打116安18本79点 打率.263(19)
2006年 SHINJO(日)34歳 438打113安16本62点 打率.258(27)
2012年 井口資仁(ロ)38歳 505打129安11本60点 打率.255(20)
2015年 中島裕之(オ)33歳 417打100安10本46点 打率.240(24)

 3割を打ったのは、ともに阪神の福留と城島の2人だけ。打撃タイトルを取った選手はいない。NPBからMLBに挑戦した打者は、NPBを代表する強打者揃いだが、この数字を見ると年齢もあって、復帰後はややダウンサイジングした印象があるのは否めない。

 岩村明憲、田口壮、川崎宗則は復帰後、規定打席に達することがなかった。

 青木はNPB出身日本人打者としては、3089安打のイチロー、1253安打の松井秀喜に次ぐ774安打を放っている。渋い働きながら、MLBでも活躍した選手だと言えよう。そして36歳で復帰した今シーズンも、ここまで3割をマーク。日米で磨いた高い打撃技術は、健在なのだ。

 死球禍が気がかりではあるが、青木は3人目の3割打者になることができるだろうか。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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