「自己都合退職」12%増 「個別労働紛争」相談過去最多 17年度3119件、背景に人手不足

 長崎労働局がまとめた2017年度の労働相談件数によると、民事上のトラブルに当たる「個別労働紛争」の相談件数が3119件(前年度比3・9%増)で、個別労働紛争の解決制度ができた2001年以降、過去最多となった。人手不足感が続く中、「辞めたくても辞めさせてもらえない」といった自己都合退職に関する相談が761件(同12・4%増)で最も多かった。
 労使間トラブルを巡っては、その防止や解決につなげようと、同局や労働基準監督署など県内7カ所に総合労働相談コーナーがあり、労働者らからの相談に相談員が対応している。近年はパワハラやいじめなどへの関心の高まりに加え、相談コーナーの認知度向上を受けて増加傾向にある。
 自己都合退職に関する相談内容は「退職を申し出ても辞めさせてもらえない」や「辞めるなら代わりを見つけるように言われた」などのケースがある。本県は全国に比べて自己都合退職の割合が高い傾向にあり、同局は「県内は中小事業者が多く、人手不足や、法律に関する知識不足の影響が大きいことが考えられる」と分析。「機会を捉えて労働基準法の周知などに取り組む」としている。
 項目別で次に多かったのが「いじめ・嫌がらせ」の704件(同13・5%減)。「解雇」が375件(同10・7%減)、「労働条件引き下げ」が306件(同13・7%増)、「退職勧奨」が235件(同6・8%増)と続いた。
 労使間での解決が難しい場合に労働局長が当事者に示す「助言・指導」の申し出件数は109件(18%減)、弁護士などの専門家でつくる紛争調整委員会による「あっせん」の申請件数は18件(同52・6%減)だった。

県内の個別労働紛争相談件数

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