洞窟からの救出、危機一髪だった

By 太田清

タイ北部チェンライの洞窟から助け出した少年を運ぶ救助隊員ら。タイ海軍特殊部隊が11日、フェイスブックで公開した(AP=共同)

 タイ北部チェンライ郊外のタムルアン洞窟に閉じこめられた地元サッカーチームの救出作戦で10日、最後に残った少年4人とコーチが無事救出され、奇跡の全員生還が世界に感動を呼んだが、作戦終了直後に洞窟内の水を吸い上げていた排水ポンプが故障、洞窟内の水位が急上昇するなど危機一髪の状況だったことが12日までに明らかになった。米ABCテレビがタイ軍事筋の話として伝えた。 

 ポンプの故障は最後に残ったコーチが救出された直後に起きた。それまで洞窟内の大量の水を排出していた主ポンプが機能を停止。作戦終了に伴い、洞窟内の第3空洞から第2空洞に向け酸素ボンベを運んでいたタイ海軍特殊部隊員らが水位の上昇に気づいた。洞窟内に水が流れ込む一方で排出はできず、第3から第2へと次々と空洞内が水で満たされていった。 

 救出作戦のために洞窟内にいた数十人の特殊部隊員らとサポートスタッフらは慌てて洞窟を脱出。外に運び出す予定だった数百の酸素ボンベが洞窟内に残されたという。もし、ポンプの故障が少年とコーチの救出中に起きれば、作戦中止などの不測の事態に追い込まれる恐れもあった。  

 一方、AP通信などによると、タイのプラユット首相は作戦終了後、視界のきかない泥水の中を潜水して洞窟を脱出することを余儀なくされた少年たちが「パニックを起こさないよう」、少年たちに抗不安薬が処方されたことを明らかにした。 (共同通信=太田清)

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