ストレスと心因性嘔吐症 どんな病気?治療法は? 沖縄県医師会編「命ぐすい耳ぐすい」(1147)

 現代社会は、ストレス社会と言われています。私たちは異常な気象、大気汚染などに加えて、職場・学校・家庭におけるさまざまなストレッサーにさらされた生活を送っています。学校でのいじめ、家庭での虐待、両親の不和、介護の問題など、また職場では人間関係の不和、過重労働、パワハラなどのストレッサーが少なくありません。そして、このようなストレッサーに対して適切な対処ができない場合にはストレスとなり、病気を発症することがあります。そのようなストレスに関連する病気のひとつに“心因性嘔吐(おうと)症”があげられます。

 吐き気や嘔吐をきたす病気には逆流性食道炎や急性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなど消化器系の病気だけでなく、脳腫瘍、メニエール病、片頭痛など神経系の病気、さらに糖尿病、心不全、アルコール中毒などがあります。

 “心因性嘔吐症”は、嘔吐の原因となる身体的な異常が見られず、心理社会的なストレスが誘因や原因となって発症する病気です。吐き気が主な症状で、嘔吐することはそれほどありません。しかし、患者様の中には繰り返して嘔吐する方や食後に決まって嘔吐する方もおられます。

 では、ストレスはどのように吐き気や嘔吐に関与しているのでしょうか?

 ストレッサーを認知したり評価したり判断したりするのは大脳の仕事です。その際、ストレッサーに対して適切な受け止めができず上手に処理できない場合に、不快な感情や不安、恐怖、怒りなどが延髄にある嘔吐中枢を刺激して症状が出現してくるようです。

 治療は、症状が激しい時は薬物療法を行います。吐き気止めの点滴や抗不安薬・抗うつ薬が使われます。症状が比較的落ち着いている時には、睡眠・休養をしっかりとる生活を心がけることを指導します。また心理療法、自律訓練法などの治療法も効果的です。

 最も大切なことは、ひとりひとりが抱えているストレスをはっきりさせ、治療者と一緒に根本的な解決策を考えていくことです。(はらクリニック 原信一郎) 

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