ルノーPUを「格下カテゴリーのエンジン」と言い切ったフェルスタッペンの矜持【今宮純のF1ドライバー採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第8戦フランスGP、第9戦オーストリアGP、第10戦イギリスGPの3連戦分だ。
—————————————
 
☆ ニコ・ヒュルケンベルグ

ニコ・ヒュルケンベルグ

 メディアから発せられる“ノイズ”などは、年中行事みたいなものと割り切っている。来季の動向が騒がれたこの3連戦期間を粛々と走り、表彰台に立つ。ニコ・ロズベルグが言ったように、「キミは1周目に(意図的に)無謀なことはしない」のだ。だからやや“引き気味”になり、順位を下げることが多いのだが。イギリスGPでハミルトンに追突、ミスを認める発言はいさぎよし。

☆☆☆ ルイス・ハミルトン

2018年F1第10戦イギリスGP ルイス・ハミルトン

 3連戦どころではない。5月モナコGPからル・マンのテストデイを含め、実に7ウイークを戦ってきた。その肉体疲労や心労などは想像を絶する。オーストリアはピット・スタート→決勝8位、イギリスも予選13番手→決勝8位、やっと今週はゆっくり休めるので7月29日の37歳誕生日の“前祝い”か?

☆☆☆☆ シャルル・ルクレール

 いまやモナコの“星の王子さま”。予選アタックではきっちりセクター自己ベストをそろえる。レースでは周囲の動きをサキヨミするかのようにかわし、ポジションを守り抜く。フランスGPでは24周目に珍しくスピンしても10位、オーストリアGPでは17番手からオーバーテイクを決めて9位。この挽回レースがさらに光り輝く。

☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル

F1第10戦イギリスGPで優勝を飾ったセバスチャン・ベッテル

 イギリスGPのストレートで苦戦したフェルスタッペンが「これは格下カテゴリーのエンジン」とはっきり言った。勇気ある言葉だ。その前オーストリアGPに勝った後にズバッと批判したからである。生意気なのか、有頂天なのか。どちらでもない彼は正直に言っただけなのだろう。ルノー側が怒り心頭になろうとも自己主張するレーサーの矜持、この3連戦でいちばん響いた言葉である。

© 株式会社三栄