金属行人(7月12日付)

©株式会社鉄鋼新聞社

 「農協との30年戦争」という本を読んだ。愛知県田原市の岡本重明氏が、農業復興のため地元農協と「戦う農民」としてさまざまな葛藤を描いている▼戦後の復興期、農協は日本の農業支援に貢献してきた。しかし現在、岡本氏のように新たな事業展開を模索しようとする農家にとって、補助金頼みの農民を「ムラの掟」で縛り付け、あらゆる改革を拒否し続けて組織の維持に注力する農協の活動は弊害の方が大きいのだろう▼本文では、巨大組織の生々しい「縛りの政策」に触れており、農家側から見た日本農業政策の矛盾点を追及している。一見すると岡本氏のサクセスストーリーと読めなくもない▼ただ今回読んで感じたのが、世間一般で言われている「農業回帰」が言うほど簡単ではないということ。休耕地と種苗とやる気があれば誰でもできるという単純なものではなく、経験に基づいた技術と知恵・工夫が必要と岡本氏も力説する▼11日から東京ビッグサイトで施設園芸・植物工場展(GPEC)が開催されている。施設園芸と植物工場の2分野を取り上げる国内唯一の専門展示会で、鉄鋼業界からも農業資材やシステムを提供する企業が出展。日本の農業を〝本気で支援する〟最新技術・サービスに触れることができる。