金属行人(7月13日付)

 日本の電炉メーカーのエネルギー効率は世界トップクラス――RITE(地球環境産業技術研究機構)の調査で、こんな結果が出た。高炉一貫メーカーを対象とした同様の調査でも日本は世界最高水準にあることが分かっている。日本鉄鋼業の設備・操業技術の高さが改めて立証された格好だ▼電炉操業において、粗鋼を1トン製造するのに投入する一次エネルギーを国際比較した。電炉メーカーが使う最大のエネルギーは電力だが、これも一次エネルギーに換算して比較。省エネの総合力を比べた確度の高い調査だ▼調査を担当したRITEの小田潤一郎主任研究員は、日本のエネルギー効率が高い理由を「省エネ設備の普及率の高さ」と分析する。普及率の高い設備で代表的なのは鉄スクラップの予熱システム、リジェネバーナーなどだ▼新興国ではここ数年、最新鋭の電炉設備の導入が進む。新型電炉は大型化の傾向にあり、中・小型電炉の多い日本はエネルギー効率では一般に不利だ。それでも世界最高の効率を維持しているのは、「操業面の工夫も大きい」と小田氏は言う▼日本鉄鋼業の省エネ技術・ノウハウは世界のトップランナーと言ってよい。地球温暖化対策を進展させる一つのカギは国際協力とも言われる。日本鉄鋼業の技術が新興国などに普及していく意義は大きい。

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