【非鉄流通のいま】〈兼松アドバンスド・マテリアルズ〉電子材料販売に特化 加工機能の高度化も検討

 兼松アドバンスド・マテリアルズ(KAM、社長・浅羽鉄平氏)は、兼松が100%出資する電子材料販売に特化した子会社だ。会社設立は2015年1月だが、兼松の非鉄金属事業の系譜を継ぐKAMのビジネスの歴史は古い。兼松が旧非鉄金属本部の一部と系列問屋3社を統合し、兼松金属販売として分社化させたのが1978年。その後社名を兼松メタルに変え、2001年には兼松セミコンダクター、兼松電子貿易と統合して兼松デバイスとなり、03年には兼松が吸収して本社の一事業部門となっていた。そして15年に車載関連事業をはじめとした電子材料ビジネスの取り扱い強化、意思決定の迅速化を目指すため、KAMとして出発した。

 幾多の組織改編や需要環境の変化を受けて、取り扱う製品の幅を広げてきた。当初は黄銅棒などの伸銅品や軽圧品を店売り販売する仕事も多かったが、現在は非鉄素材だけでなくプリント基板やカメラモジュール、半導体、ディスプレー、電池関連の部材・材料まで扱いラインアップが拡大。販売先も全量が直需向けに切り替わっている。

 販売ネットワークは、国内が本社と東北支店(宮城県遠田郡)の二拠点。東北支店は非鉄製品や電子材料を在庫・物流機能だけでなく、スリッターを置くなど自前の加工機能を持つ。海外では米国(テキサス州)と中国(大連、東莞、無錫)に事業所を置き、大連にはスリッターを導入済み。海外でも顧客へのJIT対応を徹底している。

 KAMは今年、〝22年度に経常利益を倍増〟させるための経営計画を策定した。その中で最重要テーマとされるのが〝電子材料販売の強化〟だ。プリント基板材料や関連する化学品といった商品提案力を高め、既存顧客のサポート体制を拡充することで商圏の拡大を図る。一方で金属ビジネスでは、スリット加工の高度化など「顧客のニーズを見極めて加工機能の拡充を積極的に検討する」(浅羽社長)考えだ。これと同時に、海外の販売ネットワークをさらに広げていくことも検討している。(遊佐 鉄平)

本社が入る小伝馬町駅すぐのオフィスビル

 会社概要

 ▽資本金=3億1千万円

 ▽年商=約200億円(18年3月期)

 ▽所在地=東京都中央区日本橋小伝馬町3―10 川庄ビル5階

 ▽社長=浅羽鉄平氏

 ▽電話番号=03―6661―6430

 ▽主な扱い商品=非鉄材料、プリント基板・基板材料、メッキ材料、車載電装部品、機構部品、副資材

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