物材研、MIを活用し世界最小の熱伝導率無機薄膜材料を開発

 物質・材料研究機構(NIMS)は、材料開発にビッグデータや人工知能を用いる「マテリアルズ・インフォマティックス(MI)」を活用し、世界最小の熱伝導率を有する無機複合薄膜材料の開発に成功したと発表した。データ科学で予測された材料を実験で合成することで、短期間に高性能な新規断熱材料を生み出すことに成功した。MIを活用することで極めて効率よく新規機能性材料の探索、あるいは既存材料の高性能化を行えることを実証した先駆的な事例として評価されている。

 研究チームは、「アンサンブル回帰木」と呼ばれる機械学習手法を用いて、2千種以上におよぶ材料の組み合わせから熱伝導率が低くなる組み合わせを予測。さらに独自開発した装置を利用し、予測された材料の組み合わせのナノ構造を変化させて熱伝導率との相関を網羅的に探索した。その結果、アモルファスシリコン中にビスマスの微結晶をちりばめた構造が最高の断熱特性を有することを発見した。

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