超高額なロナルド移籍金に怒り、フィアット組合員ストへ

By 太田清

2017年の最優秀選手賞「バロンドール」に2年連続で選出されたポルトガル代表のロナルド=2017年12月7日、パリ(AP=共同)

  イタリアの自動車メーカー、フィアットの組合員が、持ち株会社のオーナーが労働者をないがしろにして、世界年間最優秀選手「バロンドール」に5度輝いているポルトガル代表FWクリスティアノ・ロナルド選手(33)の移籍に巨額の資金を投じようとしていると反発、ストを宣言した。英BBC放送(電子版)などが13日までに報じた。 

 サッカーのイタリア1部リーグ(セリエA)で7連覇中のユベントスは10日、レアル・マドリード(スペイン)からロナルド選手(33)を獲得したと発表したが、移籍金は1億ユーロ(約130億円)以上と超高額。 

 ユベントスとフィアットの持ち株会社フィアット・クライスラー・オートモービルズはともに、フィアットを創業したイタリアのアニェッリ一族が事実上所有しており、フィアットの労働組合は、労働者に経済的な犠牲を強いている一方で、多額の資金が移籍に使われたことは「受け入れられない」と反発。「たった一人の選手を金持ちにするよりも、数千人の労働者の将来を保証すべきだ」と主張している。 

 ストはフィアットプントや500Xを製造するイタリア南部メルフィの工場で15日午後10時から17日午後6時まで行われる予定だが、同工場はイタリアにあるフィアット・クライスラー・オートモービルズの7工場の一つにすぎない上、ストを宣言した組合の労働者は少数で、経営への影響は限定的になるとみられている。 

 ロナルド選手は2009年にマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)からレアル・マドリード入り。欧州チャンピオンズリーグはマンチェスター・ユナイテッド時代に1度、レアル・マドリードで4度制しており、2012~13年からは6季連続で同大会の得点王に輝いた。ポルトガル代表の大黒柱としてワールドカップ(W杯)ロシア大会で4得点したが、決勝トーナメント1回戦で敗退した。 (共同通信=太田清)

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