「保護猫ゼロになるまで」 自宅改装し「カフェ」開店、鎌倉の永田さん

 動物病院や一般家庭で保護された猫を受け入れ、里親に引き渡す活動を続ける女性が鎌倉市にいる。保護猫カフェ「鎌倉ねこの間」を営む永田久美子さん(53)=同市笛田。50歳で一念発起し、必要な資格を取り、動物病院とのネットワークづくりなどに奔走し、自宅を改装してカフェを開店。これまでに行き場のなかった46匹を新たな飼い主に譲り渡した。永田さんは「保護される猫がゼロになるまで活動を続けていきたい」と話している。

 古民家風の一軒家の2階にあるカフェで、10匹ほどの猫が思い思いの時間を過ごす。「活発な子、優しい子、のんびり屋さん。それぞれに個性があるんですよ」。永田さんは目を細める。

 里親とつなぐ際、永田さんが大切にするのが猫の個性だ。引き取りを希望する客に、猫たちの様子を時間をかけて見てもらい、性格や特徴を知ってもらった上で選んでもらう。と同時に、客との会話も重ね、里親としての覚悟や飼育環境などを聞き出す。どちらも「新たな譲渡先で、猫が悲しい思いをしないように」との永田さんの願いからだ。

 幼い頃から動物が大好きだった。猫と柴犬を飼っていたが、近所でよく捨て猫を見掛けた。「家に連れて帰っては、父に叱られ、泣きながら戻した」と永田さん。子育てが一段落し、好きなことに取り組もうと考えた時、頭に浮かんだのが保護猫のことだった。

 ペットの正しい飼育方法などを普及する「愛玩動物飼養管理士」の資格などを取得し、発祥の地といわれる台湾など国内外の猫カフェ約20店に足を運び、運営方法も勉強。受け入れ頭数を猫の個性が見えやすく、自らも責任を持って面倒を見られる10匹前後と決め、他への感染を防ぐために病気などの検査が陰性だった猫に限った。

 保護猫の情報を集めるとともに預かり先として認知してもらうため、湘南地域の獣医師会を回った。会員制交流サイト(SNS)も駆使。ツイッター、フェイスブック、インスタグラムで愛らしい猫の姿や成長の様子を発信したところ、訪れる客が増えた。

 県によると、県動物保護センター(平塚市)に保護された猫は2017年度で計496匹。愛護団体などの活動により、10年で5分の1程度に減少したが、それでもゼロにはなっていない。永田さんは「新たな家族として迎えてくれる人、温かく触れ合ってくれる人と猫たちの縁をつなぎたい」と話している。

 問い合わせは、同店電話0467(40)5379。

カフェでくつろぐ保護猫=鎌倉ねこの間

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