「南古河駅」新設なるか JR宇都宮線栗橋-古河駅間

財源や住民合意課題 計画ストップ四半世紀

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JR宇都宮線栗橋-古河駅間に新駅「南古河駅(仮称)」を設置する計画が約25年ぶりに動き出した。古河市は、住民の意見を幅広く募った上で計画推進の可否を判断する方針で、5月から7月下旬にかけ予定地周辺で基礎調査の報告会を精力的に開いている。最大の課題は新駅周辺の区画整理事業。過去に賛否が割れた経緯のある地権者から約9割の同意を取り付けられるかが鍵を握る。さらに財源確保や将来の人口推移など、実現には幾つものハードルが待ち受けている。(古河支局・溝口正則)

■周辺開発が必須

南古河駅(仮称)は、JR古河駅の南約3・2キロ付近の同市大堤地区に設置を予定。長さ310メートルのホーム2本に東西を結ぶ自由通路などを備える橋上駅舎が想定されている。

計画は市の最優先事業の一つ。旧古河、総和、三和3市町の合併協議会が策定した「新市建設計画」に先導的プロジェクトとして盛り込まれているからだ。

市は昨年度、9年ぶりに基礎調査を実施。新駅開業を2027年と想定した場合、前回調査時と比べ57億8千万円増の106億2千万円の費用が必要と試算した。また、駅周辺の区画整理事業を実施することで、駅利用者は37年に1日約9千人が見込めると推計した。

市が挙げた課題は、新駅設置にかかる事業費の捻出やまちづくりの推進など。特に新駅の利用者を増やすためには、1996年に旧総和町が決定した大堤南部土地区画整理事業(約63・4ヘクタール)の実施が必須と位置付けた。

■地権者で賛否両論

新駅建設計画が表面化したのは35年前。83年、旧総和町や旧古河市など2市5町(現在は2市2町)でつくる設置促進期成同盟会が発足し、当時の国鉄やその後のJR東日本などへの要望活動が始まった。

94年には自治体施工による土地区画整理事業の基本計画案が策定され、地元住民に対する説明会が開かれた。だが、一部地権者が反対運動を展開。その後も地域住民の合意形成は得られず、96年の都市計画決定以降も棚上げが続く。

大堤南部地区は市街化区域に指定されたまま、現在も狭い生活道路や山林、田畑が残されている。利便性の悪さや固定資産税、都市計画税が長年徴収されることに不満を漏らす住民もいる。

■実現に数々の難題

「孫たちが安心して暮らせるまちをつくるためにも計画を進めてほしい」「地区全体の悲願じゃない。反対の人もいる」

5月下旬、同市大堤の大堤公民館で開かれた再調査報告会。集まった市民からは、計画推進を求める住民の声が多く聞かれたが、反対意見も入り交じった。

市はまず、丁寧な説明と地権者や住民たちの要望を聞いて、地権者の同意を取り付けたい方針。だが区画整理の見通しが立っても、震災復興や東京五輪で跳ね上がった工事費の確保、今後の人口減などによる利用者推移の見極めなど、実現には数々の高いハードルが待ち受ける。

針谷力市長は「新駅が進まなければ、ほかのまちづくりも進まない。今回が最後のチャンス」と強調。一方で「困難と判断すれば、きちんと住民に説明しなければならない」とも述べ、事業を慎重に判断していく姿勢を崩さなかった。

市は今月17日から、新駅利用が見込まれる半径約2キロ圏の住民を対象にした報告会を3日間で計4回開く方針だ。