<杜の都のチャレン人>アートイベント 作家や企業後押し

自主企画のトークイベントで司会を務める長内さん=6月30日、仙台市青葉区のブックカフェ火星の庭

◎現代アートの展覧会などを企画 長内綾子さん(42)

 昨年末から年明けにかけて仙台市内で開かれた美術家工藤夏海さん(仙台市)の個展では、同時に発行された作品集も目を引いた。150ページ。ドローイングから人形劇用の人形まで25年分、多様な作品の魅力を宮城県内外に発信した。

 「工藤さんは批評的な物の見方を持ち、現代アートとして評価されていい作品を作っている人。仙台にも面白い作家がいるのに、世の中に伝わっていない」。そんな思いから企画し、仲間を巻き込んで手間と時間を注いだ。

 キュレーターとして国内外のアートイベントの企画などを手掛ける一方、青葉区の自宅を「全部・穴・会館<ホール>」と名付け、東日本大震災の被災地などに赴くアーティストらの宿舎として開放。「問いを立て、応答を引き出す場をつくること」を常に意識する。

 東京の美術大在学中からアートイベントの運営に関わり、卒業後はデザインの仕事をしながら「アートとお金」を考えるイベントなどを企画。社会への問いを立て、課題を明らかにする現代アートの面白さに引き込まれた。仙台に拠点を移したのは2011年11月。ボランティアで被災地を訪ねるうちに「自分にやれることがあるのではないか」との思いが募った。

 12年から、デザインを通じ企業やクリエーターらを支援する「とうほくあきんどでざいん塾」(仙台卸商センター運営)のコーディネーターも務める。企業の相談に応じる姿勢も、アーティストと向き合う場合と基本は同じ。「なぜその商品をあなたが作るのか、ビジネスでもその問いの答えをきちんと考えることが必要」と語る。

 「誰かがやりたいことを形にするのを手伝うことや、『これをやったら楽しいんじゃないか』と皆に思わせるのが得意です」。当面は、若林区卸町の古い倉庫を改装しクリエーターらの共同スタジオを作る、でざいん塾のプロジェクトに力を入れる。(ま)

[おさない・あやこ]76年北海道函館市生まれ。武蔵野美術大造形学部建築学科卒。東京都千代田区のアートセンター「3331Arts Chiyoda」プログラムコーディネーターなどを経て2011年11月から仙台市青葉区在住。

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