金正恩氏が悩む「ヘンな病気」流行の原因は「危ない草」か

北朝鮮の食糧事情は、かつてと比べ大きく改善した。貧富の格差が拡大する中で、市場で食べ物を買うための十分な現金収入を得られていない層は存在するが、数十万人が餓死した1990年代の「苦難の行軍」の時代のように、国内から食べ物が消えてしまう懸念は遠ざかった。

最近では、覚せい剤の害毒に気づき、薬草など漢方薬に頼る人が増えているようだが、そこにも問題はある。

北朝鮮では、食糧事情が安定し市場経済化が進むにつれ、健康に関心を持つ人が増えた。それとは裏腹に「そこそこの暮らしができるようになったと思ったら、変な病気になってしまった」という言葉が流行しているという。

前述したとおり、病院に行ってもまともに薬が処方されないため、「あれを飲んだら健康になった」という根拠不明の噂だけを信じて、関係のない薬や健康に有害な成分の入った薬を飲んでしまう人が後を絶たない。

例えば、クサノオウ(皮癬草、白屈菜)は強い鎮静作用を持つ薬草だが、副作用が強いため、素人が使うのは非常に危険と言われている。ところが、これが「皮膚病にいい」とのふれこみで売られているのだ。

また、アマドコロ多糖注射薬は、がんに効くとの噂が広まり、使う人が多いという。ちなみに国営の高麗薬輸出入会社は、この注射薬が湿疹、乾癬、ニキビなどの皮膚病に効くと宣伝、販売しているが、信用できるとは言いがたい。

韓国の食品医薬品安全処(FDA)が2016年、北朝鮮製の漢方薬の成分を分析したところ、最高で基準の20万倍もの水銀など、各種重金属が発見された。

北朝鮮が「過去の栄光」である無償治療制度が崩壊したことを認め、新たな医療システムの構築に取り組まない限り、北朝鮮国民がまともな医療にアクセスできる日は来ないだろう。

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