MLB球団が有名飲食店とプロモーション契約を凍結 「差別的で無神経な発言」

パパ・ジョンズ創業者、ジョン・シュナッター氏【写真:Getty Images】

7球団がすでに契約凍結、Dバックスのみ関係維持を明言

 米国の有名ピザチェーン店、パパ・ジョンズの創業者、ジョン・シュナッター氏が、電話会議で「Nワード」(Nから始まるアフリカ系米国人の差別用語)を使ったとされる問題で、MLB各球団が同社とのプロモーション契約を凍結する動きが広がっている。米有力紙「ワシントン・ポスト」が伝えた。

 同紙によると、13日、ナショナルズが同社との契約凍結を発表。同社はナショナルズが7点以上得点して勝利した試合の翌日には50%オフとなるなどのキャンペーンを実施していたが、球団は「いかなる差別も容認しません。そのため、パパ・ジョンズとの提携を凍結します。しかし、我々は11年以上にわたり素晴らしいパートナーである地元の経営者は支援し続けます」とのコメントを発表した。同社との契約凍結は、これが最低でも6球団目となったと伝えている。

 同日、ヤンキースもパパ・ジョンズとの契約を凍結。このほか、すでにマーリンズ、レイズ、オリオールズ、ロイヤルズ、マリナーズも契約を凍結しており、マーリンズは凍結の発表とともに「シュナッター氏の差別的で無神経な発言は我々の組織の価値を全く反映していません」という、辛辣なコメントを発表している。

 ただし、ダイヤモンドバックスは「国レベルでパパ・ジョンズがこの問題に対して迅速に対応したことを嬉しく思います。チームの立場からすれば、我々の提携は地元フェニックスのオーナー・経営者とのものであり、本社とは完全に離れたものです。プロモーションは継続します」としてパパ・ジョンズとの関係を維持することを明言しており、MLB球団側も足並みが揃っているわけではない。

 シュナッター氏は、米プロフットボール(NFL)で昨シーズン、アフリカ系米国人選手を中心に人種差別に抗議して国歌を歌わない運動が広まった際、選手を処分しないNFL側の弱腰が経営に影響したと批判して同社のCEOを退いた人物。この問題を受け、同氏は11日に「文脈に関係なく、謝罪します。我々の社会に人種差別はふさわしくない」として、同社取締役会議の議長を辞任したが、問題は当分の間尾を引きそうだ。

(Full-Count編集部)

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