平和講演会「原爆 身近に考える機会」 諫早・長田中

 諫早市長田町の市立長田中(三井博邦校長、115人)で10日、市内で活動する長崎被災協・被爆二世の会・諫早(森多久男会長)による平和講演会が開かれた。町内に住む救護被爆者の話や同会の活動紹介があった。
 長崎原爆戦災誌によると、原爆投下後の1945年8月11~16日ごろまで、同町の長田国民学校(当時)に約200人が収容。近くの診療所長だった台湾出身の医師らが治療に当たり、住民も協力したという。
 当時、肥前長田駅に降ろされた被爆者を同校まで運んだ同町の山田春男さん(88)は「担架の代わりに戸板を使って、けが人を何度も運び、木の陰に寝かせた」と混乱した状況を振り返った。
 同会の会員は、平和コンサートの開催や被爆者を火葬した公園の清掃活動を説明し、「被爆者の体験を聞き、話すという継承活動に力を入れている。皆さんもできることに参加してほしい」と呼び掛けた。3年の諸岡胡桃さん(14)は「長崎から遠い町でも被爆者を手当てしたことを聞き、原爆被害を身近に考える機会になった」と話した。

長崎から運ばれてきた被爆者を運んだ様子などを話す山田さん=諫早市立長田中

© 株式会社長崎新聞社