16日に再開するペナント 大混戦のプロ野球、12球団後半戦のキーマンは?

ソフトバンク・千賀滉大と広島・野村祐輔【写真:藤浦一都、荒川祐史】

セ・リーグは2位から6位までが3.5ゲーム差にひしめく

 プロ野球は13日に京セラドームで、14日には熊本のリブワーク藤崎台球場でオールスターゲーム2試合を行い、大いに盛り上がりを見せた。中日・松坂大輔投手の12年ぶり球宴登板や、巨人・菅野智之投手の超スローボール、DeNAの山崎康晃投手のナックルボール、ソフトバンクの柳田悠岐外野手や西武の森友哉捕手のフルスイングなど、ファンを魅了する2試合となった。

 球宴を終えると、いよいよペナントレースは勝負の後半戦へと突入する。オールスター出場選手たちにとっては15日の1日だけのわずかな休息を経て、16日にはリーグ戦が再開される。

 今季はセ・パ両リーグともに混戦模様で前半戦が終了。セ・リーグは広島が頭1つ抜け、2位巨人から6位ヤクルトまでは3.5ゲーム差しかない団子状態となっている。パ・リーグは首位西武から5位のロッテまでが6.5ゲーム差。3位タイのソフトバンク、オリックス、そして5位ロッテがゲーム差無しで並んでおり、上位5球団にはどのチームにもリーグ優勝、そしてクライマックスシリーズ進出の可能性が大きく残されていると言えるだろう。

 一体、この混戦を制するのは、どのチームか。勝負の後半戦でチームをここから浮上させる鍵を握る選手は、どの選手だろうか。ここでは、各球団1人ずつ後半戦のキーマンを選出してみた。

○広島:野村祐輔投手
 首位を走る広島にとって懸念材料は先発投手陣。ハーラートップの大瀬良とジョンソンに続く先発の柱が定まっていない。岡田はいるものの、前半戦は不振に苦しんだ野村が復調すれば、これほど頼もしいものはなく、戦いぶりもより一層安定することだろう。

○巨人:田口麗斗投手
 前半戦でイマイチ波に乗れなかったのは、菅野と並ぶ先発2本柱として期待された田口がわずか2勝に終わったところに一因がある。2年連続2桁勝利中の左腕が14試合で2勝6敗、防御率4.92では、さすがに苦しい。ヤングマンが先発ローテとして戦力となりそうで、田口が復調すれば、浮上の兆しがより見えてくる。

○阪神:エフレン・ナバーロ内野手
 阪神にとっての課題は得点力不足、これ以外にない。投手陣はセ・リーグでトップの成績を残しているが、援護出来てない打線に問題がある。新助っ人のナバーロがいかなる働きを見せるか、は後半戦の鍵を握る。さらにいえば、ロサリオが復調を遂げると、より一層頼もしいのだが…。

首位を走る西武は救援陣が鍵、守護神増田は復活するか

○DeNA:今永昇太投手
 DeNAの鍵を握るのは投手陣。前半戦は開幕前から故障者が相次ぎ苦しんだ。濱口やウィーランドら出遅れた面々の中でも今永は活躍してもらわなければ、困る選手。ここまで2勝5敗と黒星が先行しているが、どれだけ白星を掴めるかが上位進出の鍵を握る。

○中日:田島慎二投手
 中日にとって最大の懸念材料と言えるのは不安定なリリーフ陣である。前半戦はリリーフ陣の救援失敗が目立った。山井や吉見といったベテラン陣の奮闘もあって先発の台所事情は整いつつあるだけに、リリーフ陣の整備は必須。相次ぐ救援失敗で守護神の座を剥奪された田島が復調すれば、多少なりとも不安は解消されるのだろうが…。

○ヤクルト:小川泰弘投手
 ヤクルトは先発ローテの薄さが課題。開幕からローテを守っているのはブキャナンただ1人。石川がこれに続く12試合に先発しているが、駒不足は明らかだ。右肘の疲労骨折から復帰した小川はここまで8試合に先発して4勝3敗、防御率2.62。後半戦はチームの大黒柱として白星を重ねていってもらいたい存在だ。

○西武:増田達至投手
 オールスター第1戦で森友哉が、第2戦で源田壮亮がMVPを獲得し、打線の強力さを改めて感じさせた西武。目下の課題は崩壊状態にあるリリーフ陣の整備だろう。現在カスティーヨが抑えに配置転換されているものの、不安定さを露呈している。ファームで再調整中となっている本来の守護神・増田の復調が救援陣を立て直す1つの策となるのではないか。

○日本ハム:西川遥輝外野手
 12球団でトップのチーム防御率を誇る日本ハム。西武を追撃するためには、投手を援護する打線の働きが欠かせない。キーマンに挙げるのはリードオフマンの西川。ここまで打率.255と物足りない数字となっている。前半戦最後のソフトバンク2連戦で8安打7打点と大暴れしたが、西川が元気だと日本ハム打線には活気が出る。

○ソフトバンク:千賀滉大投手
 ここまで苦戦を強いられている王者。怪我人続出や打線の不振等、苦戦の要因は1つではない。その中でチームの空気自体を変える存在として千賀の復調を上げる。前半戦は右肘や前腕部の張りなどで4度の出場選手登録の抹消があり、自身は波に乗れず、チームも波に乗せれず。後半戦開幕を任される予定となっており、まずは大黒柱となるべき右腕がビシッと抑えることで浮上への兆しとしたい。

○オリックス:ステフェン・ロメロ外野手
 オリックスも先発のアルバースや、リリーフ陣の山本、増井と投手陣はそれなりに安定しているだけに、打線の奮起が後半戦の鍵を握る。前半戦を通じて不調だった主砲ロメロの復活は不可欠。ここまで打率.228、14本塁打36打点では明らかに物足りない。ポイントゲッターとして機能するようになれば、Aクラスも十分に見えてくる。

○ロッテ:涌井秀章投手
 3位タイのソフトバンク、オリックスとゲーム差なしの5位につけるロッテ。ボルシンガー、石川の2枚看板が大活躍をしている中で、エース涌井の前半戦の働きは物足りないと言わざるを得ない。ここまで15試合で4勝6敗、防御率4.09。ボルシンガー、石川とともに活躍すれば、後半戦のロッテは面白い存在となる。

○楽天:則本昂大投手
 借金20、パ・リーグのすべての借金を背負っている楽天。不振の要因は様々にあるが、後半戦に向けて則本の活躍に期待したい。前半戦は14試合で5勝8敗と黒星が先行。岸が8勝1敗と1人で7個の貯金を作っているだけに、則本で落とした星が痛かった。まずは岸、則本の登板する試合で確実に白星を掴むこと。そうでなければ、なかなか浮上のきっかけは掴めないだろう。

(Full-Count編集部)

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