天草の映画館「本渡第一映劇」存続へ ビル老朽化、市が修繕支援

本渡第一映劇が入居するビルの前に立つ柿久和範さん。「多くの人に映画を届けたい」と話す=天草市

 天草市唯一の映画館「本渡第一映劇」が、入居するビルの老朽化で存続が危ぶまれていたが、市の支援を受けて営業を続けることになった。同館代表の柿久和範さん(57)は「これからも多くの人に映画を届けられる」と喜ぶ。

 同館は1965年創業。市文化課によると当時、天草地域には映画館が49館あったが、テレビの普及や娯楽の多様化などに伴い姿を消し、同館も90年に休館に追い込まれた。

 この年、柿久さんは東京から帰郷。翌年に地元の愛好家らと「天草シネマ倶楽部」を結成し、休館中の同館で不定期に映画祭を開催。98年には代表となり、第一映劇を復活させた。以来、年間60~70本を上映している。

 ところが1年前、同館が入るビルの所有者から立ち退きを求められた。ビルは築40年以上たち「このままでは安全を確保できない」などの理由だった。  柿久さんから相談を受けた市は、格安料金で名作が鑑賞できる市民シアター事業を同館に委託していることもあり、所有者と交渉。ビルの検査も実施したところ、構造に問題はないが外壁が崩落する危険があった。

 同館の上映作品のうち約2割がフィルム。柿久さんによると、九州で定期的にフィルム上映をしているのは同館を含む2館だけという。市は「全国的にも貴重な映画館であり、文化的価値が高い」と判断し、外壁の修繕工事費の肩代わりと、10年間の賃貸借契約を所有者と合意した。

 修繕費など400万円の予算は、6月定例市議会が可決。柿久さんが市を通じて従来と同額の家賃を所有者に支払うことで、映画館の存続にめどが付いた。市の担当者は「県外から『第一映劇を残してほしい』というメールが届くなど関心が高かった。施設を残せて良かった」。

 同館で上映される作品のほとんどを見るという地元の主婦、加藤晶子さん(53)は「映画館のレトロな雰囲気や、映画を見た後の常連さんとの会話などはここでしか味わえない魅力」と語る。

 同館は工事のため休館中で、28日に再開する。柿久さんは「映画を通して新しい自分に出会えるところが魅力。天草の人たちに笑ったり感動したりできる瞬間を共有してほしい」と話している。 (中島忠道)

©株式会社熊本日日新聞社

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