カギを握るのは「派閥に属していない議員」。自民党の各派閥の人数は?

9月7日告示・20日投開票で行われる自民党総裁選で、大きなポイントになるのが各「派閥」の動きです。

ところでその「派閥」って、どんなものだっけ?
今、自民党の「派閥」ってどんなことになってるの?

今さら人に聞けない「派閥」をもう一度おさらいしてみると、総裁選がもっと面白くウォッチできそうです。

派閥ってなに? 自民党を理解する上で重要なグループ

派閥とは、出身や縁故、利害、政策や信条などで結びついた人たちが形成するグループのことをいいます。
私たちも会社や学校、サークル、ママ友付き合いなどで日々、「人の集う場所に派閥あり」を実感していますが、政治家、とくに自民党の「派閥」には、さらに深~い意味合いがあります。

そもそも政治家たちが派閥を作って結束するのは、政治を進めていくうえで「数」こそが有利に働くためです。民主主義国家の日本では、採決は多数決で決まります。となれば確実な味方が多ければ多いだけ、当然、有利。与党である自民党総裁選は、イコール国のトップとなる総理大臣を選ぶ選挙です。この総裁選で勝利するには、自民党内に大きな派閥(裏切らない味方の票)をいかに形成するかが大きなポイントになります。

かつては今以上に派閥の長の力が大きく、実際、歴代の首相の多くは派閥の長がずらりと並んでいます。他の政党以上に自民党で派閥が重視されるのは、やはり総裁選(総理大臣選び)が関わってくるからにほかなりません。

もちろん派閥にはほかにも、若手の育成や政策の研究などにも役立ちますが、やはり総裁選こそが、自民党議員が派閥にこだわる最大の理由と言えるでしょう。若手のうちに有力な派閥に所属し、その中で頭角を現して党幹部役員や内閣で大臣などのポストをゲットし、将来的には自分がその派閥(時には独立して)のリーダーとなることこそ、未来の自民党総裁・総理大臣を目指す若手政治家の歩むべきステップになるというわけです。

今の自民党の派閥、その現状は?

自民党の「派閥」の特殊性は、それぞれが事務所まで設けて独自の活動を行うことにもよく表れています。なお、自ら「派閥」とは言わず、表向きは政策集団と名乗っています。たとえば「麻生派」なら「志公会」、「岸田派」なら「宏池会」という具合です。派閥の多くは定例会を木曜日に開いています。ちなみに現自民党総裁の安倍晋三氏は「細田派」の「清和政策研究会」所属です。

現在存在している自民党の派閥は、主に7つ。

この他に谷垣禎一氏が率いる「谷垣派」がありますが、他の派閥にも籍を置く議員が多いので派閥とは別の「谷垣グループ」と表現されます。なお、各議員がどの派閥に所属しているかの基準はメディアによって異なりますのでご注意ください。

派閥に所属するメンバーが総裁選に立候補するとなれば、自派の候補者を支持するのは当然のことながら(第一次安倍晋三総裁誕生時のように、同派閥から2人の立候補者が出て派閥分裂で総裁選に臨んだケースもありますが)、派閥から立候補者が出なかったとき、結束してひとりの立候補者を支持することができるかどうかが、派閥の力の見せ所。
たとえ数的には少数派であったとしても、一丸となって支持することにより、その候補者の当落を決するキャスティングボートを握った派閥となれば、総裁選後の党幹部人事や内閣人事でも有利にポストを得ることができます。

総裁選を目前にした自民党内では、私たちの見えないところで派閥間の駆け引きが激しくなっていることでしょう。

カギを握るのは約70人の「無派閥」議員

ところでどこの派閥にも所属していない72名の無派閥議員たちは、9月の総裁選にどのように臨むのでしょうか。
仮に「無派閥」議員が一致団結すると、派閥第2位の麻生派を越える巨大勢力となります。
各派閥も、この無派閥層を我が陣営に引き込もうとあれこれ策を練っているのでは。

2018年6月24日までに共同通信が行った同党無派閥の国会議員約70名の動向を探った調査によると、約4割に当たる約30人が安倍晋三首相(党総裁)の連続三選を支持する意向だと判明したとしています。しかし、無派閥の約半数にあたる40人弱は態度未定・無回答。
党員・党友の地方票の行方と合わせ、情勢はまだまだわかりません。

そもそも現段階では、総裁選への立候補に意欲を示している議員(安倍晋三氏、石破茂氏、岸田文雄氏、野田聖子氏)はいるものの、正式な立候補はまだ先の事。
今後新たな候補者が現れるか、派閥の理論や諸事情により立候補を取りやめる人がでるか、目が離せません。

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