【MLB】大谷は「すぐに手術を」 米名物コラムニストが提言も…つきまとう「疑問符」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

20日に再検査の予定「もしも、彼がここで手術を受ければ…」

 エンゼルスの大谷翔平投手はメジャー1年目の前半戦を終えた。投手としては右肘靭帯損傷で離脱するまで、9試合先発で4勝1敗、防御率3.10の成績をマーク。一方、指名打者としては45試合出場で打率.283、7本塁打、22打点。いずれも好成績を残しているが、19日(日本時間20日)には右肘の再検査を行い、今後の方針を決めることになる。

 23歳の二刀流は現在、投手としての起用を一時封印し、指名打者として活躍を続けている。では、将来的にはどのような選択が最適なのだろうか――。大谷とゆかりの深い名物コラムニストは、投手としては一般的に14か月の離脱を余儀なくされる靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)に即時踏み切るべきだと提言している。

「彼は今週もう1度診断を受ける。投球練習を再開するのか、それとも、手術を受けるために今季シャットアウトするのか。もしも、彼がここで手術を受ければ、来年の開幕には打者としての練習再開は可能だろう。そして、投手としてのリハビリも同時に進めることができる。来季、投手としての復帰前から、DHとして起用できる。それが彼の現在地点というわけだ」

 こう語ったのは米経済誌「フォーブス」のバリー・ブルーム記者だ。MLB公式サイトの記者時代に当時日本ハムの大谷への単独インタビューを2度行っている。今季開幕前にはスプリングキャンプでの投打の不振から、「投手・大谷」の成績について「5勝8敗」と予想する一方、「打者・大谷」については勝ち星よりも少ない「ホームラン5本未満だ」と分析。その後、自身のコラムで自らの見立てが間違っていたことを潔く認めていた。

 5月13日のツインズ戦後の記者会見では「日本では1試合で最高何球を投げたのか?」と質問すると、「球数に関しては、携帯で調べればすぐに出ることなので、是非調べていただきたいと思うんですけど……」と満面の笑みで切り返された。「本人が目の前にいるんだから、直接教えてくれてもいいだろ」と食い下がる珍問答は会見場で大爆笑を生み、米国でも大きな話題になっていた。

「彼とは会見で通訳を通じて大笑いの展開になってしまったが、本当にいい青年だ。私は大いに気に入っている。オオタニは最高の選手だし、人間としても本当にいい子なんだよ」

 かつて辛口評価から“手のひら返し“に出たブルーム記者。弟キャラでクラブハウスでも人気を誇る大谷の人間性についても心酔している様子だった。

「私の最高のシナリオは今すぐに手術をすること」、その理由は…

 そんな人間味溢れるベテラン記者は、大谷の今後の選択肢についてこう提言した。

「私の最高のシナリオは今すぐに手術をすること。そして、リハビリにできるだけ早く突入する。来年打者としてのメンテナスを行い、2019年の終わりか2020年に再び投球を再開するということだ。もしも、彼がここで手術を受ければ、来年の開幕には打者としての練習再開が可能だろう。そして、投手としてのリハビリを進めることができる。来季投手として復帰する前から、DHとして起用できる」

 大谷は6月8日(日本時間9日)に故障者リスト(DL)入り。その前日の7日(同8日)に多血小板血漿(PRP)注射と幹細胞注射を受けており、3週間後の28日(同29日)に再検査を受けた結果、手術の必要はなしとの診断を受けていた。

 現在は指名打者として躍動しているが、投手として完全復活するためには肘にメスを入れ、早期復活を目指すことが得策ではないか、というのが名物コラムニストの主張だ。

 だが、大谷が手術を乗り越え、今まで通りの輝きを放つことができる保証がないというのも事実。ブルーム記者は続ける。

「このまま投手として復帰したとして、全力で投げようとすると、靭帯は切れて、手術という結末になるのでは、と危惧している。その一方で、手術を受けたからと言って、以前のようなピッチングを見せることができる100%の保証は存在しない。彼の場合は二刀流なので、全てがレアケース。前例はないので、復帰時にも実験的な部分が存在する。ダルビッシュもマツザカもトミー・ジョン手術を受けたが、彼らはもっと歳を取ってからだった。オオタニはまだ23歳。彼には時間がたくさんある。復帰するためにハードワークできる余裕もある。それでも、必ずかつての力を取り戻し、発揮できるのかは疑問符がつきまとってしまう」

 トミー・ジョン手術を乗り越えた投手が手術前の活躍を確実に見せる保証は、これまでの例からも確実とは言えないという。リスクは存在するが、投手として本来の輝きを放つには「即時手術」がベターという持論をブルーム記者は唱えていた。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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