日新製鋼、黒色の高耐食性溶融めっき鋼板「黒ZAM」の表面特殊改質処理能力2倍以上に増強 用途開発進み受注拡大

 日新製鋼は、黒色の高耐食性溶融めっき鋼板「黒ZAM」をめぐり、今年度下期にも黒色を生み出す特殊改質の処理能力を従来比2倍以上に増強する。昨春の受注開始以来、住宅設備や建材内装をはじめ家電製品や自動車など幅広い需要分野で用途開発が進む。黒ZAMが持つ高加工性や耐きず付き性、吸放熱特性などに対する市場ニーズは強く、さらなる受注拡大に対応した生産体制の構築につなげる。

 黒ZAMは、めっき処理後にZAMの表面を独自技術で特殊改質し、めっき層自体が黒色化しているのが特徴。鉄の重厚感や渋みを兼ね備え、高難度の加工でも美麗な黒色の外観を維持できるほか、塗装鋼板と比べて耐摩耗性や耐きず付き性、吸放熱特性に優れる。

 従来の高耐食性溶融めっき鋼板「ZAM」と同等の耐赤錆性を備え、溶剤を含む塗料も使わない。他の工程を変えることなく塗装工程を省略でき、深絞りをはじめ高加工できるといった導入のしやすさから採用を決定・検討する動きが広がっている。

 日新では、昨夏から堺製造所(堺市西区)で黒ZAMの本格生産に乗り出した。ダクトチャンバーや天井に埋め込む換気扇などで採用実績を上げ、昨年度下期には当初掲げた月平均150トンの受注目標を達成した。足元では天井ルーバーや配電盤の筐体で実用化に向けた動きがあるなど国内外で150程度の案件が進行している。

 黒色をめぐる一連の潜在ニーズは高く、日新では特殊改質の処理能力の引き上げが必要と判断。今年10月から来年3月にかけて堺で現行の2倍を超える処理能力に移行し、生産性の向上につなげていく。

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