フジミ模型、鉄鋼業支えた軍艦島キット化 熊本震災復興にも貢献

 模型メーカーのフジミ模型(本社・静岡市、社長・齋藤良介氏)は鉄鋼業界にゆかりの深い軍艦島(端島、長崎県)のキットを発売した。世界文化遺産に登録された同島は、良質な石炭を掘削し八幡製鉄所に製鉄用原料炭を供給した。1974年に閉山するまで多くの住民が日本の経済発展を支えた。

 開発のきっかけは、軍港情景モデルのノウハウ。最新の金型技術で3千分の1集める軍港/軍艦シリーズが販売好調である点と、近年は廃墟や城郭、建築物やインフラ建造物の人気をヒントに、浮かんできたのが「軍艦島」だったという。

 苦労した部分は、設定と資料作成だった。軍艦島は明治期から昭和40年後半までの激動の時代に稼働し、その形態は時代とともに大きな変遷を遂げた。現在の廃墟状態は、模型的に形状表現が難しく、現存する資料写真から戦後の昭和40年台を狙った。もっとも人口密度も多く、人も島(住棟)も活気ある時代だ。

 キットは上級者だけではなく、軍艦島の知名度から本製品を触れてこられる初心者も考慮し一体成型にしつつ、塗装を考慮し一部別パーツ化した。

 同社は近年、マーケットに新機軸を打ち出している。ユーザーの趣向性の多様化とともに、製作環境も変化。これまでの主力であった車や艦船模型を、スナップフィット式で接着不要・カラー成型で塗装不要という新しい模型のスタイルを提案。新商品の自由研究シリーズはカブトムシや恐竜をラインナップ。入門者や親子で対話のきっかけになればと考える。

 開発担当の井上聡常務は「現地に観光見学されたきっかけ等で本製品を知り、興味を持たれ、模型の世界に入ってきて触れてみてほしい」と語る。

 「瀬戸内海に浮かぶ工場の島『契島』や、インフラとしてダムや橋、水門などさまざまなモチーフを検討していこうと思うので今後の展開にご注目いただきたい」(同)。

 同社はくまもんシリーズや通販の売上金寄付で熊本の震災復興に貢献した。「被災し避難されてる方へ、勇気づけ・元気づけたくお送りした」という。

 「軍艦島」は定価2600円(税別)。全国の模型店、量販店で発売中。

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