東北大学、耐熱モリブデン合金開発 1600度でも優れた靭性、ジェットエンジン部材など転用期待

 東北大学は13日、室温から1600度レベルの超高温度域でも優れた靭性を確保した新耐熱モリブデン合金(モシブチック合金)を開発したと発表した。新合金を摩擦攪拌接合(FSW)の攪拌ツールに応用し、インコネル600の接合にも成功した。1キログラムを超える鋳物を製作できるため金型などの応用技術の発展も視野に入るほか、ジェットエンジン部材などへの転用も期待されている。

 ジェットエンジンや発電用ガスタービンの高温・高圧回転部にはニッケル基超合金が使用されているが、耐熱性と強度の両立が課題とされていた。今回発明した合金はモリブデンにチタン、ケイ素、ホウ素を添加したもの。溶解・鋳造法によって大きな製品の試作が可能となったことで、合金強度を測定したところニッケル基超合金よりも200度程度高い耐熱性能を確認した。また、東北大学では新合金で作成した摩擦攪拌ツールを使用することでニッケル合金のインコネル600のFSWに成功し、耐熱性能を実証した。

 東北大学は「モシブチック合金が直ちにジェットエンジンやガスタービンの高温・高圧回転部に搭載されることはない」とみているが、摩擦攪拌ツールや熱間加工用金型に応用して実績を積むことで、将来的には高温・高圧回転部品にも活用できるとしている。今後は金属加工技術の高度化を促進する一方で、酸化に対する抵抗力の向上やコーティング技術の検討が必要になるとしている。

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