南国みやげを彷彿とさせる謎のキャラクターが描かれたDVDジャケット。再生するとそこにはアロハシャツ姿の面々。「電気」なのに「トロピカル」、絶妙なねじれの位置から降ってくるサウンドは心地よい熱を帯びていった──。
石野卓球とピエール瀧による二人組バンド、電気グルーヴ。2017年、4年ぶりとなるアルバム『TROPICAL LOVE』をリリースした彼らが行ったレコ発ツアーのなかから、東京・Zepp Tokyoでのツアーファイナルの模様を収録した本作。『人間大統領』や『顔変わっちゃってる。』『プエルトリコのひとりっ子』（すごいタイトルだらけ……）といった最新アルバム収録曲に加え、『モノノケダンス』『FLASHBACK DISCO』そして『N.O.』といったこれまでのヒット曲もしっかり楽しめる、期待を裏切らない内容だ。
活動はすでに30年近く。テクノミュージックというジャンルのなかで独自の立ち位置を確立し、しかも一番に受け取るメッセージが「楽しそうだなー」であるという、そんな存在の二人はやっぱり生けるレジェンドだ。この閉塞感に満ちた日本の風穴みたいに、南国からでも北極からでも、気ままでふいにソリッドな風を、いつまでも届けてほしいと願う。購入したDVDがスマートフォンで観られるアプリ「プレイパス」対応。
（Ki/oon Music Inc.・5300円＋税）＝玉木美企子
