貸付料を「財源に 知事、佐賀の負担軽減へ期待

 九州新幹線長崎ルートの整備方法を巡り、佐賀県が追加費用負担に難色を示している問題で、中村法道知事は17日、全線フル規格で整備する場合の財源について、JR九州の収支改善を参考に充てられる施設使用料(貸付料)を「できれば西九州(長崎)ルートの財源として確保してもらえればありがたい」と述べた。
 法令に基づきJRが負担する貸付料はいったん建設、施設保有主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構に集められ、全国各地の整備新幹線の財源として配分されてきた。しかし知事は長崎ルートの収支改善に基づく貸付料は、同じ長崎ルートに特化して充てる選択肢に期待をにじませた格好だ。
 知事は定例会見で全線フルならJR九州の収支改善効果が年間88億円とした国土交通省試算をあらためて説明。収支改善に基づく貸付料はJR側が同機構との取り決めで開業から30年間支払うため「(佐賀県負担の)相当程度の軽減につながる」と強調した。さらに地方交付税措置で軽減される点も触れた。
 整備新幹線で財源が未定なのは長崎ルートと、北陸ルートの敦賀-新大阪。法令に基づくと、この2ルートの収支を基にJR側が支払う貸付料は2ルートに分配される見込みだが、知事は「ルートごとにそこから得られる収益見込みを個別に充当するかどうかは国の方でも検討課題だと思う」との見解を示した。
 ただ、貸付料収入などで佐賀県の負担が軽くなっても、同県から全線フルに理解を得られるかは「予断を許さない。いかに関係者にご理解いただけるかにかかっている」と語った。

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