【新日鉄住金グループ企業の〝今〟35】〈日鉄住金電磁〉電磁鋼板、「精整」「コア」事業伸長

スリッター設備操業技術生かし販売

©株式会社鉄鋼新聞社

 日鉄住金電磁は、昨年設立50周年の節目を迎えた。

 電磁鋼板加工の総合メーカーとして、精整からモータ部品、変圧器部品の加工と販売、さらには鋼板加工機械(スリッターなど)の設計・製作・販売・据付・技術指導を手掛ける。

 同社の半世紀は、6社(名珪、中京鋼板工業、富士電磁鋼センター、東京電磁鋼センター、広畑電磁鋼センター、九州電磁鋼センター)が順次経営統合する形で2010年に現在の体制となった(当時の社名は日鉄電磁)。

 名古屋、関東、関西、九州の各工場で展開する「精整事業」は、方向性・無方向性の電磁鋼板をスリット加工する。無方向性はモータコア用、方向性はトランスコア用。

 電磁鋼板は、かつて家電向けを主力に発展したが、家電メーカーの海外移転などで一時は扱い量が減少。しかし、ここへ来て自動車用の車載モータ向けなどに需要が伸長しているほか、生産現場での自動化推進などで産業用ロボットが増え、サーボモータ用などでの需要が増えていることから、スリット加工量も増えており、足元、高稼働状態のラインが増えつつある。

 スリットされた電磁鋼板をモータ、トランス、イグニッションのコアとして加工する「コア事業」も同社の特徴。

 モータコア加工は、スリット加工した電磁鋼板をプレス機で打ち抜き積層。商品性能に応じて焼鈍処理して高品質なコアにする。自動車向けの増加に伴って加工量は伸長している。

 トランスコア加工は、スリット加工した電磁鋼板を剪断。その後成型加工して焼鈍する。同加工も最近は量的にも安定している。太陽光発電向けなどはピークアウト感が強いが「さらなるトランスの高効率化の動きもあり、需要は底堅い」(柴田社長)という。

 イグニッションコア加工は、関西工場がメーンで手掛ける。エンジンの点火プラグ周辺の重要部品だ。

 「機械事業」では、自社の操業ノウハウを取り入れたスリッターライン等の設計・製作・販売を手掛ける。これまでに国内外で計110件の納入実績がある。「板厚0・05ミリの極薄から16ミリまでの極厚ラインまで」がPRポイントだ。

 現在、従業員は約500人。平均年齢は約36歳。「働き方改革」の流れが進む中で、同社も人材育成と生産性向上がキーワードになる。職場での多能工化なども課題になる。「当社は領域によって技能が異なり、多能工化は進めにくい。しかし、改善の進め方には共通点がある。QCサークル活動も3年前から全社で本格展開しており、こうした活動を通じて人材育成を図っていきたい」(柴田社長)と語る。

 「安全」に対する取り組みにも特徴がある。「安全と品質は事業運営の両輪。個別の災害に対して迅速に対処することのほか、それに対する横展開が速いのが当社の強み」(柴田社長)とする。

 その背景には、日常取り組んでいる「リスク発掘」の企業文化がある。「各人が職場で危ないところを探し、報告する。そして対策を打つ。全社で年間1千件を超すリスク発掘報告がある。例えば、精整の仕事が増えれば置き場が減る。それは作業者のスペースも減るということで、これによりリスクも変化していく。そうして常にリスクを発掘している」(柴田社長)と語る。

 「品質」に対しても同様の展開を続け、成果につなげている。

 柴田社長は毎年度「会社方針」を作成し、その考え方を全国の各工場で説明することで、情報の共有化と職場の活性化にもつなげている。

 2012年に中国・江蘇省常熟市に設立した現地法人「日鉄住金電磁(常熟)有限公司」。同社初の海外進出となり、当初は苦戦も予想されたが、現地の日系自動車メーカー生産が近年好調で、自動車用イグニッションコア加工が伸長。黒字化している。今後も堅調な現地需要に対応する。

企業概要

 ▽本社=愛知県あま市

 ▽資本金=3億円(新日鉄住金の出資比率57%)

 ▽社長=柴田哲典

 ▽売上=約128億円(18年3月期)

 ▽電磁鋼板の加工販売、モータ、変圧器部品の加工販売、機械事業

 ▽社員・役員=492人(18年3月末現在)