東洋アルミが「超撥水採精カップ」開発 男性用妊活検査キットに採用

 東洋アルミニウム(本社・大阪市中央区、社長・山本博氏)は17日、超撥水採精カップ「ComeCumCup」(カムカムカップ)を開発したと発表した。カムカムカップは、男性の妊活を応援する広島大学発ベンチャーのダンテ(本社・東京都港区、社長・瀧本陽介氏)が7月2日に発売した精液成分の郵送検査キット「BUDDY CHECK」(バディチェック)に使用されている。

 バディチェックは、ダンテが精液の液体部分「精しょう」が精子の運動、受精能力に大きく影響することに着目し開発した、世界初となる精液成分の郵送検査キット。健康診断や病院、不妊治療など通常の精液検査は、精液中の「精子」を主に見ており、精子の数や運動性を分析する検査。ダンテの検査は精液中の「精しょう」を見ることで、精子の持久力などパフォーマンスに影響を与える成分に着目している。

 バディチェックのキットに含まれるカムカムカップには、ハスの葉の構造をヒントに開発された超撥水性素材が使われている。これにより、粘性の高い精液でも非常によく弾き、スポイトなどを使わずとも、ほぼ全量を提出用チューブに入れることが可能になった。ハスの葉の表面には、疎水性の微細な凹凸構造があり、これが超撥水性を生み出している。この構造と同様の空気層を含む凹凸構造(フラクタル構造)を素材表面に施すことで超撥水性を人工的に実現した技術が、東洋アルミの「TOYAL LOTUS」。バイオミメティクス(生物模倣)を活用した技術として各方面から注目されている。

 カムカムカップはこの超撥水技術をベースに、検査用補助具として開発されたもの。カムカムカップという製品名は、どんなものでも弾かせて付着させないという同社の技術力に対する強い自信とCome(来い)Cum(精液)という親しみやすい響きに由来する。

 精液検査が日常的に身近な存在となり、男性のコンディション管理や男性の妊活、妊活に対する男女間のリテラシー格差を埋めることを目的としたダンテのバディチェック事業実現のため、東洋アルミではこの採精カップを活用してほしいという。今後は精液だけでなく他の体液付着防止効果が期待できるため、検査用途を中心にさまざまな場面での活用も期待している。

 東洋アルミニウムはアルミ箔、アルミパウダー・ペーストなどを製造販売。トップメーカーとして、長年培った高度な技術を結集し、他社が真似できない高付加価値のオンリーワン製品を生み出すことが強み。ダンテは世界初となる精液成分の郵送キット「バディチェック」を開発。キット活用を広めることで、男性の妊活への参加、精神的負担や男女間のリテラシー格差の低減などを目指す。

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