新作のテーマは高校野球!「おさるのジョージ」ドキュメンタリー女性監督、明かす

山崎エマ監督

 世界で愛される絵本「おさるのジョージ」シリーズの生みの親である夫妻の波乱に満ちた人生に迫るドキュメンタリー映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』を手掛けた山崎エマ監督が、17日に都内で行われたトークショーに登壇。作品誕生の裏側のほか、高校野球をテーマにした新作に着手していることを明かした。

【写真】『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』場面写真

 本作では、「おさるのジョージ」の作者でユダヤ人のハンスとマーガレットのレイ夫妻がナチス・ドイツの侵攻を逃れてパリからアメリカに移住し、キャラクターを守り抜いた人生に肉迫。山崎監督は、自身初の長編ドキュメンタリーとなる本作について、「会ったこともないレイ夫妻の大ファンになり、制作中は2人をすごく身近に感じて、レイ夫妻と自分の人生がシンクロするような特別な経験でした」と振り返る。

 過去のアーカイブ映像に、レイ夫妻を模したアニメーションを組み合わせ、歴史を語っていくユニークな映像スタイルが見どころの1つだが、これは制作初期に直面した困難から生まれたものだという。「レイ夫妻は生前から有名だったので、お二人の映像はたくさんあるだろうと思っていたのですが、実際にはほとんど残っておらず、パリを脱出するエピソードなど、どう表現したらいいか」と思案することに。「お二人が自身についての映画を作るとしたら、どんな伝え方をしただろうと考えて、『おさるのジョージ』を世に残した彼らならアニメーションを使うのもすごく自然なことに思えた」という。

クラウドファンディングには想像を絶する苦労が……

 また本作では、制作資金をクラウドファンディングで調達したことも話題になったが、その期間は「人生で最もつらい30日間」になった。「企業に大金を出資してもらうことで、結局自分のやりたいようにできなくなったらもったいないと、クラウドファンディングにしたんです。30日間で17万5,000ドル(約1925万円、1ドル110円計算)という目標を定めましたが、集まらなかったらすべてがゼロになる。だからその間はお金が増えれば大喜びして、何時間も増えないと胃が痛くなって、何かの中毒になったようでした」

 そのあと「ところがそのとき、資金だけじゃなく生涯の伴侶にも出会えたんですが」とサラッと自身の結婚について切り出した山崎監督。資金調達の過程で、ニューヨークでプロデューサーとして活躍している現在の夫と知り合い、昨年結婚。2人で自転車に乗っている時にプロポーズされたと言い、レイ夫妻と同じサプライズだったことを明かす。「自分の人生と映画のレイ夫妻が同時進行していて、この映画が自分のミッションなんだ、自分の子供の名前はジョージなのかな?(笑)なんて、改めて感じました」

 イギリス人の父と日本人の母の間に神戸で生まれ、19歳の時、映画制作を学ぶためニューヨークに渡米した山崎監督は、出自や日本を外から見た経験を生かして今後も作品を作っていきたいという。また本作を完成させたことで自信を得たようで、現在、高校野球をテーマにした新作を制作中だ。

 「東京オリンピックに向けて、海外からの日本への関心がどんどん高まる中、今年100回目を迎える高校野球、高校球児を今追いかけているんです。日本文化の礼儀正しさ、負け方の美や感動、ちょっとやりすぎの不思議さも含めて、そこに日本社会の縮図があると思っていて、日本を海外に伝えていく仕事の第一弾として考えているんです。『おさるのジョージ』からいきなりで、ビックリかもしれませんね」と構想を明らかにした。(取材・文/岸田智)

映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』は新宿シネマカリテにて上映中、全国順次公開

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