米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は18日、タイ北部洞窟での少年の救出活動に加わった英国人潜水士を根拠なく「小児性愛者」と罵倒したことについてツイッターで謝罪した。マスク氏の発言を巡っては、大株主らが「一線を越えた発言だ」と激しく批判し謝罪を要求したほか、一部株主が辞任を求める騒ぎに発展していた。
マスク氏は、潜水士のアンスワース氏がいくつかのうそを述べマスク氏を中傷したと主張し「怒りの中で」発言してしまったと釈明したものの、「彼が私にこのような行為をしたからといって、私の彼に対する行いが正当化されるものではない。アンスワース氏と、私が経営する会社に謝罪する。責任は私だけにある」と述べた。
英紙ガーディアン(電子版)などによると、マスク氏の根拠ない発言に対し、テスラ第4位の大株主である投資運用会社ベイリー・ギフォードのパートナー、ジェームズ・アンダーソン氏は「(EV開発により)炭素系燃料使用に終止符を打つことが本質的な目標だが、今回の件がその目標に影を落としていることに失望している」と指摘。これまで自身に批判的なアナリストを非難してきたマスク氏の発言に同意できる点もあったが、「今回は違っている。現在会社と連絡をとっているが、テスラが事態に真剣に対処することを望んでいる」と発言。
また、ベンチャーキャピタル会社ループ・ベンチャーズは公開書簡で「発言は一線を越えた」と批判。「投資家の信頼を取り戻すには、ツイッターからの削除以上のことが必要だ」と、マスク氏に謝罪を求めた。
過去にマスク氏の会長更迭提案をしたある株主は、タイに赴き救出作業に当たることは「彼の仕事ではない」とした上で、「本業に専念すべきだ。もし少年たちを助けたければ、会社とは別の慈善組織を立ち上げるべき。彼は(経営者として)十分に成熟した人物ではない」と、マスク氏に替えて独立した経営者がテスラの経営に当たるべきだとの主張を繰り返した。
マスク氏は救助活動のため提案した潜水装置について、アンスワース氏が「絶対役に立たない。宣伝行為だ」と一蹴したことに反発、同氏について「小児性愛者の男」とツイッターに書き込み、その後、反発を受け削除した。アンスワース氏はマスク氏の発言に「仰天し激怒している」として、同氏を相手取って訴えを起こす可能性を示唆していた。
マスク氏はこれまでもツイッターなどで、テスラに批判的なアナリストやメディアを激しく攻撃する行為を繰り返してきたほか、「テスラが破産した」とエイプリルフールの「冗談」を飛ばしたこともあった。 (共同通信=太田清)
★ マスク氏がツイッターで謝罪したため差し替えました。