【特集】東京五輪も視野に日朝交流

日体大、朝大が定期戦開設

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定期戦の開始前に記念撮影する日体大、朝鮮大学校のサッカー部員と関係者。2列目左から3人目が松浪健四郎・日体大理事長、同4人目が韓東成・朝大学長=10日、東京都小平市の朝大

 約2年後に迫った東京五輪への、北朝鮮の参加が注目されている。北朝鮮は、国際オリンピック委員会(IOC)に参加意向を伝達。ただ日本政府は独自制裁として北朝鮮籍保有者の入国を原則禁止にしている。東アジアをめぐる国際情勢が影を落とす中、スポーツ界では、政治とは別に交流を推進する動きがある。

朝大と定期戦立ち上げ

 10日、東京都小平市の朝鮮大学校(朝大)で、同校と日体大のサッカー部による第1回の定期戦が行われた。

 松浪健四郎・日体大理事長は「本学のミッションには『スポーツを基軸に国際平和に貢献する』とある。政治問題は横に置き、フェアプレー、五輪精神の下、心と心を通じ合わせたい」とあいさつ。朝大の韓東成学長は「東アジアに平和と協力という新しい流れが生まれる中、両校ひいては両国親善の新しい懸け橋になる」と応じた。

 両校は5年前に協定を結び、指導者や選手間の交流を深めてきた。松浪理事長は、これまでに3度、サッカー部などの選手団を平壌に派遣するなど、北朝鮮本国のスポーツ当局との関係も築いてきた。20年五輪に北朝鮮が参加すれば、練習施設の提供などの便宜を提供する用意もあると話した。

結びつき戦前から

 松浪理事長は、北朝鮮と交流を進める理由に、「体操学校」、「日本体育専門学校」と呼ばれていた戦前の日体大前身時代からの結びつきを挙げる。「当時は朝鮮、台湾、中国から多くの学生が来ていた」。戦後の北朝鮮や日本国内の朝鮮学校のスポーツ指導や普及には、数多くの卒業生が携わったという。

 松浪理事長は「政治的にはいろいろな意見もある。しかし、スポーツはみんな同じルールでやるもの。われわれが(交流を)やらないと、いい関係を作るのがどんどん難しくなる」と「使命感」を語った。朝大の韓学長は「5年間、地道に積み上げてきたから、(定期戦開設という)今日がある」と関係者の尽力を評価した。

義理と人情

 記念すべき最初の定期戦は、前半に日体大が相手DF陣のミスにつけこみ3点を先取し、球際の強さを発揮した朝大が後半に2点を返す展開で、日体大が勝利した。試合後は、キャンパス内の芝生で、「朝大名物」の焼き肉パーティーで懇親を深めた。

 「平和」や「友好」といった言葉が強調された“政治的”な試合。学生たちは何を思ったのか。日体大の原田亘主将(4年)は「スポーツをしている者同士で、友達もいる。特別なことは感じない」と淡々としていた。

 一方、朝大生の側はこの試合の意義により敏感だった。韓勇太主将(4年)は「僕たちがもっとオープンにならないといけない部分もあるのかもしれないけど、こういう交流はなかったので、本当にありがたい」と感謝。そして「このつながりを大切にする。朝鮮人は『義理と人情』の民族と思っていますから」と話した。(共同通信=松村圭)

朝鮮大学校で行われた定期戦の後、キャンパスで焼き肉を食べる日体大と朝大の選手=10日
日体大と朝鮮大学校のサッカー定期戦の様子=10日
日体大と朝鮮大学校のサッカー定期戦のハーフタイムに披露された朝鮮舞踊=10日