2018年上半期だけで県内17ヶ所の選挙!オール沖縄の苦戦が続く、沖縄選挙の振り返り

今年は全国的には大型選挙が少ないものの、沖縄県に限っては注目の選挙が目白押しです。下半期には沖縄県統一地方選(9月9日投開票)や県知事選(11月18日)を控えていますが、上半期に行われた注目の選挙を振り返っておきましょう。

南城市長選挙 オール沖縄新人候補が現職を破る(1月21日投開票)

沖縄選挙イヤーの幕開けとなった1月の南城市長選では、現職で4期目を目指した古謝景春氏(自民・公明・維新推薦)と、元衆議院議員で新人の瑞慶覧長敏氏(共産、民進、自由、社民、沖縄社大推薦)の一騎打ちとなりました。

翁長知事を筆頭に辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」陣営と、それに対抗する自公中心の保守系勢力「チーム沖縄」という構図となりましたが、結果としてはわずか65票差で新人の瑞慶覧氏が勝利

両陣営にとって、その後の選挙に向けての組織作りに大きな影響をもたらす選挙となりました。一方、その翌週に投開票された八重瀬町長選挙は翁長知事が応援した候補者は当選ならず、自民、公明が推薦した新垣安弘氏が当選するなど今年初めから波乱の展開が起こっていました。

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名護市長選挙 自公中心勢力が現職を破る(2月4日投開票)

2018年上半期、沖縄で最も注目を集めた選挙となったのが、名護市長選挙です。沖縄米軍基地問題の最大の争点となっている辺野古新基地建設問題。その辺野古が位置する名護市では、過去20年間にわたって新基地建設容認派と反対派が激しい闘いを繰り広げてきました。

今回の選挙では現職の稲嶺進氏に対して元市議の渡具知武豊氏が挑む構図となりました。選挙中、政府与党の推薦を受けた渡具知氏はできるだけ辺野古移設を争点とせず、「国と県の裁判を見守る」という立場で市民生活の向上や経済政策の重視などに力点を置いたことが功を奏し、初当選を果たしました。

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「オール沖縄」陣営は連敗が続く

その後の読谷村長選では辺野古新基地建設反対派の村長が無投票で当選したものの、続く石垣市長選、沖縄市長選、南風原町長選と続けて、翁長知事が応援する「オール沖縄」陣営の候補者が立て続けに敗北を喫します。

辺野古新基地建設問題について裁判闘争は続いていますが、建設作業は進み、一部で「諦めモード」となっているという指摘や、新基地建設阻止にあたって県民投票を実施することの是非について足並みがそろわない時期があったこと、宮古島市への自衛隊配備について「オール沖縄」陣営が明確な意志を示すことができていないことなど、「オール沖縄」の不調にはいくつかの原因が指摘されています。

「オール沖縄」は今後、下半期の重要選挙に向けて体制を立て直すことができるか否かがポイントとなります。特に、翁長知事がどのタイミングで新基地建設の承認撤回というカードを切るか、その時期とその後の対応に注目が集まっています。

沖縄統一地方選、那覇市長選、県知事選… 下半期にはさらに選挙が続く

9月には沖縄県内28の市町村議会が任期満了を迎え、議会議員選挙が実施されるいわゆる「沖縄統一地方選」が実施されます。

さらに、10月には那覇市長選。現職の城間幹子氏は2期目の立候補について態度を明確にしていない一方、自民党沖縄県連副会長で県議会議員の翁長政俊氏は立候補に意欲を示しています。また、過去複数の選挙に立候補した経験を持つ石田辰夫氏も立候補の意向を表明しています。

また、11月には沖縄県知事選挙が予定されています。現職の翁長雄志氏はすい臓がんの手術を受け、一時公務から離れるなど健康状態が不安視されており、きたる選挙への立候補は難しいのではないか、という見方が大勢をしめていますが、本人は明言を避けています。一方で自民・保守系の候補者選考委員会は現職の宜野湾市長である佐喜真淳氏を擁立する方針を固めています。ただ、先に立候補の意向を表明した日本青年会議所の元会頭で実業家の安里繁信氏を自民党の元職議員らが応援しており、今後どのように調整されるか、あるいはされないかも注目されています。

さらに、佐喜真宜野湾市長が任期途中で知事選に立候補となると、当然、宜野湾市長選挙も実施されることになります。米軍普天間飛行場を抱えるこの市の首長も県政にとって重要なポジションであり、県全域を巻き込んだ熾烈な戦いが展開されることが予想されます。現時点では自公勢力からは副市長の松川正則氏や県議会議員の又吉清義氏らが、翁長知事寄りの勢力からは新垣清涼氏、宮城一郎氏といった2名の県議会議員の名前が挙がっています。

どの選挙も地方自治体議員または首長を選ぶ選挙で、自治体が独自に抱える問題への姿勢が問われることは当然ですが、沖縄の米軍基地問題をめぐる国防上の非常に大きな問題に対する態度が問われ、その結果が国政における政権運営や来る国政選挙に大きな影響を及ぼすものとなります。引き続き沖縄の選挙から目が離せません。

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