【新社長インタビュー】〈淀川製鋼所・二田哲氏〉「総合力」「信頼」で100年企業目指す

連結経常益100億円を安定確保

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――まずは抱負を。

 「社長就任は重責であり非常に身が引き締まる思い。長期ビジョン『桜(SAKURA)100』を掲げ、いかなる経営環境下にあっても連結経常利益100億円を安定して計上できる100年企業への発展と実現を目指している。まずは中期経営計画(2017~19年度)をファーストステップとして着実に遂行していく」

 「鋼板事業を中心に、建材・エクステリア・工事・ロール・グレーチングなど多岐にわたる事業について、補完・協力・連携して総合力を高めながら目標を達成する」

――総合力を生かした強みとは。

淀川製鋼所・二田社長

 「当社は独立系として、国内外のメーカーからホットコイルなどの原材料を仕入れている。母材供給元は、当社のロール事業のユーザーでもあり、各社との信頼関係があることも強みの一つ。また、ヨド物置などエクステリア商品は、当社製表面処理鋼板を使用し、素材から開発する一貫メーカーである」

 「海外事業も各社で連携して成果を上げている。直近では、中国のYSS社が中国YBMH社と〝協働〟で北京新空港ターミナルの屋根用鋼板を受注した」

――前期は連結経常利益100億円を達成したが、足元は母材価格の上昇など厳しい状況にある。

 「当社主力の鋼板事業は、主原材料のホットコイルのほか亜鉛や副資材など価格が上昇している状況。コスト上昇分の転嫁については、取引先の協力の下、店売りは主原材料分の転嫁は進んでいるが、亜鉛や副資材などの値上がり分を転嫁できていない。ヒモ付きはホットコイル価格の上昇分も転嫁できていない。安定供給のためにも引き続き販売価格改定に取り組む」

 「建材商品は前期の積み残し分を含めて販価是正に尽力する。エクステリア商品は8月1日出荷分から全品種値上げする。販価改定は需要家・流通の協力の下、早期完遂を目指す」

――足元の需要動向は。

 「非住宅向けは食品や薬品工場など大型の生産設備関連向けの荷動きが堅調。大型投資が活発で、当社の耐火パネルなども好調に推移している。住宅向けカラー鋼板薄番手は弱含んでいたが足元では回復傾向にあり、引き続き戦略的に注力する」

 「荷動き・引き合いが好調なため、各生産拠点の稼働率も非常に高い。特に、『ヨド耐火パネルグランウォールHyper』を生産する姫路事業所(兵庫県姫路市)は高稼働が続いており、1直だった生産体制を2直体制とする予定。月間生産能力は1・5万平方メートルから2・2万平方メートルとなる」

――中計に向け、海外事業も重要となる。

 「台湾のSYSCO社は、米国の通商拡大法232条の表面処理鋼板の課税により輸出が減っている状況。台湾国内は建築における規制強化などの影響で需要が停滞している。単体で利益は出ているが、従来と比べると苦しい」

 「家電用途向けのカラー鋼板を製造するタイのPPT社は中国メーカーとの価格競争が激化。高付加価値商品を投入し、新規顧客開拓に注力する」

 「YSS社はまだ知名度が低く販売面で苦戦しているが、新たな展開も出始めている。表面処理鋼板販売会社のSYT社と連携し、日系家電メーカーだけでなく、中国国内のローカル家電メーカー、韓国やヨーロッパ家電メーカーへの販売を強化していく」

 「SYSCO社以外は日本人の従業員に頼る部分が大きく、本当の現地化という意味でも現地人材の育成に注力する」

――長期ビジョンの実現のための取り組みとは。

 「既存事業の新商品を積極的に開発するとともに、さまざまな知恵を出し合い、新規事業を模索したい」

 「〝信頼〟を大事にしている。企業として、ガバナンス、コンプライアンス、社会的信用をさらに強化していく。信頼関係を築きながら収益向上を目指し、長期ビジョンを達成する」(綾部 翔悟)

プロフィール

 呉工場で20年、市川工場で9年、鋼板関係で技術・生産部門に従事。1999年に呉工場5号溶融亜鉛めっきラインを立ち上げ、「今でも印象に残る」と話す。SYSCO社、YSS社と渡り歩き、海外経験も豊富。

 好きな言葉は「信頼」。趣味はゴルフと音楽鑑賞。情熱あふれるタイプで決断は速い。

 二田 哲氏(にった・さとし)80年(昭55)大阪大学基礎工学部卒、淀川製鋼所入社。12年上席執行役員経営企画本部長兼海外事業企画室長・鋼板工場統括、14年上席執行役員YSS社総経理、17年取締役常務執行役員、18年6月現職。56年(昭31)3月26日生まれ、大阪府出身。