関西地区H形鋼市況、底値切り上がりも高値通り難 メーカー動向を注視

 関西のH形鋼市況は、今月に入り底値が切り上がり、ベース=8万5千円がほぼ固まっている。ただメーカーの価格方針がばらつく中、流通の唱える8万7千円は通りにくく、いまひとつ上伸力に欠ける。今後のH形鋼の市況展開を見てみた。

メーカーの価格方針

 関西店売りマーケットでメインを占める日鉄住金スチールは、6月の発表で3千円の値上げを発表。ヤマトスチールも3千円の値上げとしたが、東京製鉄は据え置いた。7月は日鉄住金スチール、東京製鉄とも据え置き両社の値上げ幅は開いたまま。東京製鉄は関西店売りマーケットでのシェアは低いが、影響力は強いだけに「東鉄は建値を据え置いたが、実行販価をどうするのか見守っていきたい」と流通はする。

相場の行方

 足元の相場はベース=8万5千円がほぼ固まっている。これについては「今年2月販価の値上げをようやく転嫁しただけ」とし「メーカーの価格方針がばらついても相場が弱含むことはない」とする向きがほとんどだ。ただ仕入れ値が3千円上がるとすれば、8万8千円を目指さなければならないが「次の値上げは現状ではしんどい」とする。そのため流通は当面、現状価格を維持しながら「ばらついた価格はいずれ収斂されるはず。メーカーの動きを見守る」事となりそうだ。

大型物件中心の需要

 需要全体は引き続き堅調だ。新日鉄住金大阪ときわ会の6月出庫量は3万1500トン。6月単月では過去10年間にない高水準。ただ大型物件が多いため「H形鋼をメインに扱う流通は忙しいが、一般形鋼や平鋼も扱う流通にとってはそれほど繁忙感がない」とする。在庫についても、中幅や大型サイズには歯抜けが見られるが、ベースを中心とした細幅は「やや多いのでは」との指摘もある。

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