欧アルミ圧延のグレンゲス、自動車用熱交材をアジアで拡販 中国、インド需要を捕捉

 【中国・上海=遊佐鉄平】スウェーデンのアルミ圧延大手グレンゲスは、アジアで自動車熱交換器用アルミ板の販売を強化する。世界最大の自動車マーケットである中国に熱交換器材に特化した製造拠点を持つ強みを生かし、中国市場でのシェア拡大を図る。また中国を起点にインドや東南アジアなどアジア各国への輸出も推進し、高性能熱交換器材のシェア拡大を目指す。

 自動車熱交換器用アルミ板の世界最大手であるグレンゲスは2017年、アジア地区で自動車熱交換器材を含む自動車材を8万6千トン(前年比6・2%増)販売した。このうち6割強が中国向けで、残る4割弱を韓国とインド、その他が分け合っている。

 アジア地区での今期販売計画は、「域内自動車市場の伸び率以上の販売量増加を目指している」(徐国涛グレンゲス・アジア代表)とし、9万トン弱程度を目指しているもようだ。需要環境は、主力販売先の中国では新エネルギー車の需要が好調で「新エネ車はガソリン車と同じかそれ以上に熱交換器が必要になるため、中国政府の進める自動車政策はポジティブに捉えている」(同)という。

 また中国と並んで重要市場に位置付けるインド市場は「数量はまだ限られているが、すでにトップシェアを確保している。これからも市場の成長率を捕捉できれば自然と数量も増えてくる」(同)とみている。中国やインド市場のほか韓国やタイなどの東南アジアでも各国のニーズに合わせて販売戦略を練っていくとした。

 日本市場については「成熟市場であるため、難しさがある。努力はしていく」(同)という段階。ただし「日本の大手熱交換器メーカーとは日本以外の市場で取引関係にある。この関係は今後も深めていきたい」(同)と語った。

 グレンゲスはスウェーデン・ストックホルムに本社を置くアルミ圧延メーカー。自動車などの熱交換器用アルミ材をメインに手掛けるほか、米国では一般箔も製造している。特に自動車熱交材では、クラッドフィンやクラッド管など高い技術力を持ち世界最大のシェアを有する。スウェーデン・フィンスポン工場、上海工場のほか、米国では買収した旧ノランダの圧延工場を保有している。

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