長崎新幹線、FGT不採用 全線フルかミニ 結論先送り 与党検討委 佐賀の負担軽減難航

 九州新幹線長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉間の整備について話し合う与党検討委員会は19日、東京都内で会合を開き、今月内にまとめる予定だった整備方式の決定を先送りした。佐賀県が費用負担増に難色を示す中で結論を出すのは難しいと判断した。フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)は導入せず、今後は全線フル規格とミニ新幹線に絞って負担軽減策の詳細を詰め、同県が合意できる環境を整える方針だが、調整にはなお難航が予想される。

 長崎ルートは、2022年度に新幹線と在来線特急をホーム対面で乗り継ぐ「リレー方式」で暫定開業することが決まっている。ただ、同方式では時間短縮効果が限られ、利用者の利便性も低いことから、検討委はこの日の中間取りまとめで「恒久化はあってはならない」との考えで一致。整備方式の結論を急ぐ姿勢を示した。当初は新鳥栖-武雄温泉間の在来線を利用するFGTを採用する予定だったが、採算性の低さや開発遅れを理由に、導入しないことを正式に決めた。

 全線フル、ミニ新幹線いずれを選択した場合でも佐賀県の同意が必要となる。同県はFGTを導入する当初計画に比べて、費用負担が増えることに難色を示しており、検討委の山本幸三委員長は終了後、「佐賀県の負担をどれだけ軽減できるか詰める必要がある。合意には時間がかかる」との認識を示した。二つの方式の優劣は明確にせず、整備方式の決定期限については「決まっていない」とした。

 関係者によると、今回の見送りは、佐賀県に対する負担軽減策が固まらず、調整が間に合わなかったため。本格開業の形態が定まらない状態が続けば、リレー方式の固定化や民間の投資意欲の減退などが懸念される。

 国土交通省は全線フルの事業費を6千億円、ミニ新幹線を1700億~2600億円と試算している。

整備方式の先送りを決めた与党検討委=衆院第2議員会館

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