九州新幹線長崎ルートの全線フル規格を求めてきた本県政財界からは、与党検討委の結論先送りを前向きに受け止める声の一方、開業へ向けて進めているまちづくりへの影響を懸念する言葉も聞かれた。「リレー方式」固定化への不安も残り、早期の全線フル実現を求める声が相次いだ。
「一定の前進があった」。県庁で報道陣の取材に応じた中村法道知事は、与党検討委が整備方式を全線フルかミニ新幹線に絞ったことを評価。ただ、佐賀県の負担軽減策が示されなかったことは「残念」とし、全線フルに向けて国が解決策を示すよう求めた。東京都内で自民党幹部に要望活動をした県議会九州新幹線西九州ルート整備特別委の八江利春委員長は「佐賀県と調整のための時間が必要だと判断したのだろう」とし、結論先送りを全線フルに向けた措置と受け止めた。
ただ結論を出す時期は見通せず、沿線自治体からは懸念も。長崎市の田上富久市長は「まちづくりや民間による投資意欲の減退につながる可能性がある」と長期化を不安視。大村市の園田裕史市長は「一日も早い全線フルの実現に向け(要望)活動を続ける」とした。
経済界からも全線フル実現への決意が聞かれた。長崎経済同友会の坂井俊之代表幹事は「選択肢がはっきり二つに絞られ、チャンスが広がったと受け止めている。佐賀県の負担を減らす努力をして、何としても実現したい」と力を込めた。
一方、JR九州は整備効果を最大限発揮するため「少しでも早期に方向づけされることを引き続き要望する」とのコメントを出した。
長崎市宮崎町の自営業、緒方茂雄さん(69)は「ここまで工事が進んでいるのに先送りでは話にならない。国や佐賀県とうまく話し合ってほしい」と訴えた。
どうなる新幹線 長崎ルート 知事「一定の前進あった」
- Published
- 2018/07/20 16:00 (JST)
- Updated
- 2018/12/10 17:48 (JST)
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