被爆体験者訴訟 3人の請求棄却 福岡高裁判決

 国が指定する地域外で長崎原爆に遭ったため被爆者と認められていない「被爆体験者」3人が、被爆者健康手帳を取得できず精神的苦痛を受けたとして、長崎市と田上富久市長に、1人当たり計100万円の慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決が19日、福岡高裁であり、阿部正幸裁判長は請求を棄却した。原告側は上告する方針。
 訴状などによると、3人は、いずれも爆心地から約10キロの旧西彼深堀村(現長崎市)で原爆に遭った。被爆者援護法が「身体に原爆の放射能の影響を受けるような事情の下にあった」と規定する「3号被爆者」に該当すると主張。政府と市の間の「密約」で手帳を交付しないのは違法行為に当たり、3人は精神的苦痛を受けたとした。
 判決は「密約によるものと認められず、違法行為に該当しない」とし、一審長崎地裁判決を支持した。
 また3人については福岡高裁が先月、手帳交付申請の却下処分取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決で、請求を棄却した。

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