【新理事長インタビュー(下)】〈石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)・細野哲弘氏〉アフリカでの活動強化 「業界の人材確保にも貢献を」

――アフリカではボツワナのリモートセンシングセンターに続き、南アフリカ事務所の新設を決めた。

 「技術協力は当機構の大切なメニューの一つ。特にリモセンのアフリカにおける技術移転や人材育成の取り組みは長年の実績があり、現地でも非常に評価されている。そこで研修を受けた人材のネットワークは日本にとって貴重な財産となっている。資源開発という実利、資源国とのネットワークづくりの両面で意義のある活動だと評価している」

 「来年初めに新設するヨハネスブルク事務所では権益確保や資源開発などの面をカバーしてもらおうと考えており、アフリカでの活動をいっそう強化するのが目的だ。コバルトも対象候補となるだろうが、将来的にEV(電気自動車)でどれぐらい使われるかは不透明なところがある。これはすべてのレアメタルに共通することだが、一定の見通しとリスクの程度の問題かと考える」

――海底鉱物資源開発の取り組みでは昨年、海底熱水鉱床の連続揚鉱に成功するという大きな成果があった。

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)・細野理事長

 「日本はエネルギー・資源の大半を海外に頼っている国であり、日本近海のEEZ(排他的経済水域)内やその周辺にこうしたエネルギーや資源のポテンシャルを有するということは非常に大きな意義がある。今回の成果は広く関係者に評価されているし、当機構の職員にも良い励ましになったのではないか。ただ、これも商業化するにはまだ課題があるし、時間を要する。当然ながら陸上の開発に比べて難しい技術が求められるし、環境影響も念頭に置いて対応しなくてはならない。経済性の確保も含めて課題は残っている」

――ベースメタルを中心に、海外企業などとの共同探査(JV)事業を積極的に進めている。

 「今進めている調査の中にも成果が出つつある案件があるので、非常に期待している。JVは石炭でも成果を上げていて、インドネシアや豪州のパートナー企業が成長する一助にもなった。これは大きく言えば石炭生産の寡占化に一定のくさびを打ったとも言えるわけで、そういった面でも非常に意味があると思う」

――資源業界の課題をどうみていますか。

 「やはり人材の確保が課題ではないか。大学の資源系学部が減少してしまったことが大きい。製造産業局に在籍していた時から、ものづくり全般が小中学生も含めた学生に魅力的にみられていないのではないかと心配していたが、その傾向が増しているように思う。こうした部分でも当機構の機能を最大限活用し、少しでも貢献できるような活動ができないか考えたい」

――パッシヴ・トリートメント(自然力活用型坑廃水処理)の技術開発も進めている。

 「これは微生物などを使って現行の方法よりも手間やコストをかけずに坑廃水を処理しようというもので、方法論として優れていると思う。坑廃水は性格上、非常に長い時間をかけて管理しなければならないのでその効率化やコスト抑制の追求は重要なことであり、そういった部分でも貢献できたらと考えている」(相楽 孝一)

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